帝国データバンクが市場動向予想した“天気図”公表
帝国データバンクは3月11日、主要100業界・197分野の市場動向を展望した「業界天気図」を公表した。
市場が縮小すると見込む「雨天」と予想する分野は51で、19年度から7増加した。消費税率が5%から8%に引き上げられた翌年の15年度の8増加に次ぐ多さとなった。雨天の数が50を上回るのは16年度以来、4年ぶり。
貨物輸送(トラック輸送)の20年度に関しては、市場は停滞しているか、もしくは好転の兆しがみられる状態を表す「曇り」で、19年度から変わっていない。背景として、eコマース成長による宅配貨物増加が続くことや、米中貿易摩擦の国内顧客への影響が懸念されることを指摘。改正貨物自動車運送事業法が昨年11月に施行され、新規参入時の要件「保有台数最低5台」をめぐるルールが厳格化されたことで中小事業者の淘汰が進む可能性に言及している。
ただ、荷主の製造業は新型コロナウイルスの感染拡大で今後業績の悪化が懸念されており、貨物輸送の天気が曇りから悪化する可能性もある。
全体の内訳は快晴が1、晴れが21、薄日が53、曇りが71、小雨が30、雨が18、雷雨が3。19年度から20年度にかけて業況悪化を見込む分野としては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国市場の停滞や生産停止が懸念される化粧品製造(晴れ→薄日)、競争激化が見込まれる移動体通信(MNO、薄日→曇り)、少子化が逆風となる学習塾・予備校(同)、消費増税の影響などが予測される鉄鋼(高炉、曇り→小雨)、災害の続発で保険金支払いが増えている損害保険(同)、中国市場の自動車生産調整などが響くとみているゴム製品製造(タイヤ製品)などを挙げている。
(藤原秀行)
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