都市部にEC専用ネットワーク構築、宅配の拠点も大型化・効率化
ヤマトホールディングスは8月8日、2022年4~6月期決算に関する電話決算会見を開催した。
同社の栗栖利蔵副社長は、2024年3月期を最終年度とする現行の中期経営計画「Oneヤマト2023」に関連し、ECの物流需要の伸びを受けて都市部で構築しているEC専用の物流ネットワークの整備状況を説明。ECソートセンター(EC専用発送ターミナル)からECデリバリーセンター(EC専用ラストマイル拠点)、ラストマイル配送機能(EAZY CREW)を直接結ぶことで、業務の効率化を推進していることを明らかにした。
ECソートセンターは4拠点の配備が完了しており、荷物の取扱量全体に占める割合は22年3月期の8%から23年3月期は15%、24年3月期は20%と着実に増やしていく計画を表明。ECデリバリーセンターは22年3月期の1拠点から23年3月期に20~40拠点、24年3月期には50~70拠点まで拡充し、24年3月期には年間3億個の荷物を取り扱えるようにする予定を示した。
EC専用ネットワークの稼働により、24年3月期には業務効率化で営業費用が240億円圧縮できるとみている。
併せて、既存の宅配ネットワークを見直し、拠点の集約・大型化を進めていることにも言及。小規模な拠点が多い都市部を優先し、1拠点当たり100稼働と、現状の平均的な規模の10倍に広げていくことを想定。22年3月期の3501拠点から23年3月期は約3350、24年3月期は約3000まで減らす一方、大型化した拠点は24年3月期に8カ所まで増やすスケジュールを明示した。大規模拠点にターミナル機能も集約していくことにも触れた。
拠点再構築の効果で営業費用は24年3月期に80億円減らせると試算している。
また、ネットワークのオペレーション適正化に向け、既存ネットワークの運行車の発注を、地域(主管支店)の裁量から業務量予測に基づく発注に変更。本社と地域拠点が一体となって日々の業務量とコストをモニタリングする体制に移行しており、今後効果が出てくると見積もっている。
栗栖副社長は「現在は過渡期で、若干当初の想定よりコスト先行が続いていて、(前年同期より減益となった)現状の業績になっているが、やるべきことはきちんと進捗させている。少しずつではあるが効果が出てきており、第3四半期(10~12月)以降、しっかりと身を結ばせることで当初の業績予想にコミットさせていただきたい。コストの適正化も見え始めている」と説明。構造改革が着実に進展していることも踏まえ、通期の業績見通しは変更しないことを強調した。
(藤原秀行)