開示資料で説明、第二次は3社に絞り込み
ロジスティードは5月9日、アルプスアルパイン系のアルプス物流をTOB(株式公開買い付け)などで買収する方針を開示した際、買収方針を決めるまでの経緯を時系列公表した。
開示資料によれば、アルプス物流の株式譲渡に関する第一次入札プロセスを2023年末にアルプスアルパインとアルプス物流が実施した際、ロジスティードを含む11社が意向表明書を提出した。最終的に取得価格などでロジスティードが最も優れた提案と判断した。第二次入札プロセスは3社まで絞り込んだという。ロジスティード以外の具体的な社名などには言及していない。
開示資料によると、アルプスアルパインが昨年10月上旬、アルプス物流に対し、両社間の資本関係再構築を検討している旨を連絡、協議を開始した。アルプス物流は同11月10日、アルプスアルパインと面談し、アルプス物流株式売却などの意向のヒアリングを実施した。
その際、アルプスアルパインとアルプス物流の両社は、アルプス物流の事業に強い関心を持っていると考えられる複数の候補者を対象に、株式譲渡に関する入札を実施すべきだとの判断で一致。アルプス物流株式を譲渡した後もアルプスアルパインが一定程度の株式を継続して保有することなどを前提とした入札を実施することにした。
アルプス物流は独立した財務アドバイザー兼第三者算定機関としてSMBC日興証券、外部の法務アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所をそれぞれ選定しており、両社の助言も得た。
その後、アルプス物流は昨年11月、独立社外取締役が参加する特別委員会の設置を決定。昨年12月中旬からSMBC日興証券、アンダーソン・毛利・友常法律事務所とアルプスアルパインの財務アドバイザーを務めている野村証券の3社を通じ、事業会社や複数のファンドに入札への参加を打診した。
昨年12月18日、入札への参加に関心を持つ事業会社と投資ファンド計15社を対象に第一次入札プロセスをスタート。今年1月下旬には第一次候補者のうち11社が意向表明書を提出した。
このうちロジスティードは1月19日、アルプス物流の株式非公開化を前提とした、法的拘束力を有しない意向表明書を出した。アルプスアルパインとアルプス物流は11社の提案を慎重に比較検討した結果、ロジスティードを含む3社に第二次入札プロセスへの参加を打診した。
2月上旬に第二次入札プロセスをスタート、デューデリジェンス(資産査定)を経て、3月18日に第二次候補から最終提案書を受け取り、内容を踏まえて3月22日、第二次候補へ株式価値の評価額や公開買い付け価格の引き上げなどを検討するよう求めた。
アルプスアルパインとアルプス物流は再検討した第二次候補から3月27日に修正回答を受領。両社は4月8日、ロジスティードに回答内容をさらに再検討するよう求め、ロジスティードは4月10日、再度提案を提出した。
他の第二次候補の提案内容と比較した結果、株式価値の評価額や公開買い付け価格が最も高額だったことや、既存事業とのシナジー(提携効果)が大きく見込めることなどから、ロジスティードの提案が最善で、今後のアルプス物流の企業価値向上に資するとの結論に至った。
ロジスティードはアルプス物流のデューデリジェンスや経営陣との面談などを実施、検討した結果、「電子部品物流・調達物流における高い専門性とマーケットシェア、幅広く多様化された顧客ネットワークと顧客との強固な関係性、高品質な物流サービスの根幹を支える独自のWMS等の高度な物流管理システム、また、流通領域での3温度帯物流に対する専門性や生協を中心とした個人宅配ネットワークなどを有しており、非常に高い競争力と更なる潜在成長力を有するものと理解」したと強調している。
ロジスティードは3月18日、最終提案書の中で、アルプス物流の株式1株当たりの価値評価額を4250円、公開買い付け価格を4970円などと設定。再検討の要請を踏まえ、3月27日には株式価値評価額を4950円、公開買い付け価格を5774円などに引き上げた。
4月10日に出した提案は、こうした価格を維持することを打ち出していた。4月12日にアルプスアルパインとアルプス物流から最終候補者にロジスティードを選定するとの連絡があったという。
(藤原秀行)