国交省集計、ドライバー不足や物価高騰など影響か
国土交通省は8月23日、2023年度の宅配便事業者による荷物取扱実績を公表した。
主要な22のサービスブランド全体の取扱個数は前年度比0.3%増の50億733万個だった。新型コロナウイルスの感染拡大を契機としてEC市場の成長が続き、9年連続で過去最高を更新。2年続けて50億個の大台を突破した。
ただ、伸び率自体は20年度の11.9%から21年度は2.4%、22年度は1.1%と縮小傾向にあり、コロナ禍によるECの急激な広がりが沈静化してきたことを裏付けた。最近の物価高騰や宅配の料金値上げが個人消費に影響している可能性もある。
取扱実績は事業者の報告を踏まえ、重さ30kg以下の荷物数を集計した。
宅配便の大半を占めるトラック運送分は23年度が0.2%減の49億1401万個だった。トラック運送分が前年度の実績を割り込むのは2014年度以来、9年ぶり。ドライバー不足などが響いた可能性がある。
各社のトラック運送分取扱実績の内訳を見ると、最大手のヤマト運輸は1.9%減の22億9582万個で4年ぶりに前年実績を下回った。シェアは22年度から0.8ポイント下がって46.7%だった。
2位の佐川急便は1.0%増の13億7285万個で、シェアは0.3ポイント上がって27.9%。3位の日本郵便は3.0%増の10億966万個で、20年度から3年ぶりに10億個を回復した。シェアは0.6ポイント上昇し20.5%。
上位3社合計のシェアは22年度から0.1ポイント上がって95.1%だった。
一方、航空輸送分の取扱実績は主要な141のサービスブランド合計で15.5%増の9331万個と大きく伸びており、ドライバー不足が航空便へのシフトを促しているとみられる。
書籍やカタログなどを送るメール便は主要な10のサービスブランド合計で10.5%減の36億1007万冊と大きく落ち込み、2年連続のマイナスだった。
(藤原秀行)