Phoxter、成田のANA最大貨物上屋にAGV60台提供

Phoxter、成田のANA最大貨物上屋にAGV60台提供

10月供用開始予定、航空物流の効率化と安全性向上をサポート

ロボット開発のPhoxter(フォクスター、大阪府豊中市)は9月20日、全日本空輸(ANA)が今年10月に供用開始予定の成田空港第8貨物ビルに、60台のAGV(無人搬送ロボット)を提供すると発表した。

Phoxterはこれまでに日本国内で2000台以上のAGVを納入し、物流業や製造業のピッキング、保管、搬送、取出しなどの現場作業自動化を後押ししてきた。

ANAとの連携で、Phoxterは自社の省人化・効率化ソリューションが航空物流の領域でも有効活用できることを確認したと強調。航空物流の効率化に貢献できるとみている。


(Phoxter提供)

ANAは成田空港貨物ターミナル地区で、同社最大規模となる貨物上屋(延べ面積約6.1万㎡、うち上屋面積約3.8万㎡)の供用開始を計画している。

省人・省力化や作業安全性向上の実現に向け、2019年に調査研究を開始。具体的な方策の1つとして、従来のフォークリフトによる固定ロケーションシステムの運用ではなく、AGVを活用したロケーションシステムの導入を検討。複数のベンダーの中からPhoxterを選択したという。

従前のフリーロケーションシステムは、全体を一つの大きなロケーションとして管理する場合、AGVは入荷スキッド(荷役台)を自由に空きロケーションに格納しますが、出荷時には分散したスキッドを集荷する作業動線が長くなるため、多数のAGVが必要となることが課題だった。

ANAとPhoxterは繰り返しシミュレーションを重ね、最適化された特定の条件でゾーンニングした位置に保管する方式を採用。AGV個々の作業動線が短くなり、AGVの総数を抑制できたという。

併せて、AGVの渋滞による作業遅延などの影響も低減させることが可能になった。今後も両社は継続して運用改善を図っていく方針。

ANAは省力化・省人化に加え、航空貨物は今後も継続的に拡大することが見込まれているため、今後貨物上屋を拡張する必要性が生じた場合でも、AGVが稼働する区域を広げることで、柔軟に対応できることに期待している。

Phoxterは、今回のANAとの取り組みに加え、大阪府茨木市に開設したR&Dセンターで東急不動産とローカル5G(高速通信規格)を使った次世代物流システムの開発を進めるなど、複数の輸送手段や施設を自由に利活用し、突発的な需要変動にも柔軟に対応できるようなシステムの構築を目指す。

(藤原秀行)

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