航空輸送網と地上施設に継続的投資、貿易需要とピークシーズンへの対応力強化
DHL Expressは12月17日、2024年のアジア太平洋地域で航空ネットワークと地上施設を強化し、同地域発着の国際貨物量が前年比で6%増加したと発表した。
同社は「この成果は、アジア太平洋地域が今後も世界貿易において重要な役割を果たし続けることを示している」と強調した。
DHL Expressは昨年、東南アジアにおける貨物量の増加に対応するため、中核となる施設を拡張。シンガポールのチャンギ空港近くにある「南アジアハブ」は、2021~22年20%以上の貨物量増加を受け、将来の成長を見据えて拡充に踏み切った。
(DHL Express提供)
アジア太平洋地域におけるマルチハブ戦略の重要拠点として、立地の利便性を活かし、欧米やアジア、オセアニア向けの出荷を支えている。新たなX線検査装置導入でスキャン能力が30%向上し、既存のマテハンシステムの強化により、仕分け能力も40%高められたという。
また、南アジアハブには、シンガポール航空運航によるDHL所有のボーイング777貨物機5機を配備。1200t以上の積載能力を追加し、米国~アジア間の輸送時間を最適化。両大陸間の貿易強化につなげている。新型ボーイング777は、従来のB747-400型機に比べてCO2排出量が18%少ないため、DHLのスコープ1排出量の削減にもつながると見込む。
さらに、2024年10月にはマレーシア・クアラルンプールに最新のゲートウェイを開設し、特に電気・電子機器製造の調達拠点としてマレーシアの貿易をサポート。投資額は6000万ユーロ(約96億円)、施設面積は1万3000㎡を超え、完全自動化した仕分けシステムを採用した。
DHLグループのカーボンニュートラル施設のガイドラインに沿って、太陽光パネルやエネルギー効率の良いシステムを取り入れている。
DHL Expressは、需要の高い貿易ルートにおけるネットワーク強化も並行して進めています。9月には香港からジャカルタへの直行便を新たに就航させ、アジア太平洋地域内での輸送時間短縮と顧客サービスの向上を実現した。
専用便をシドニーと香港の間で運航し、オセアニア地域から各地への接続性をさらに改善。香港に到着した貨物は、中国本土、インド、韓国、日本、マレーシア、台湾、タイ、フィリピン、ベトナム向けに翌日配達サービスを提供している。
最近、ゲートウェイをアデレードに開設し、オーストラリア市場で存在感をさらに強固なものにした。空港に近接した場所に移転した拡張施設のピーク時の処理能力は4倍に増加し、アジア太平洋地域、欧州、英国向け出荷の輸送所要日数を1日短縮する。
拡張施設により、地元企業はアデレードおよび南オーストラリア州への航空貨物輸送を直接利用できるようになり、他のオーストラリアの港に頼る必要を解消。さらに、DHL Expressは以前の施設の10倍以上の規模となる数百万ドルを投じた新たなサービスセンターをニューキャッスルに開設した。
このインフラは、地域の企業が自社製品を国際市場に輸出したり、自社のサプライチェーンに幅広い輸入品を取り入れることを支援するのが狙い。
ニュージーランド国内での事業拡大の一環として、新たにクライストチャーチにゲートウェイを開設する。同国への過去最大の投資となるこの施設は、ニュージーランドにおけるDHL Express初の100%カーボンニュートラル施設として運営する。
1時間当たり最大6500個の輸入貨物、5600個の輸出貨物を処理できるラインソーターコンベアシステムにより、現地のニュージーランド企業は輸出入をより効率的に行えるようになると見込む。
貿易需要の高まりに対応する香港特別行政区の接続性をさらに強化するため、香港ウエストサービスセンターを開設した。この施設は1日当たり5万個以上の貨物を処理することができ、世界的な環境性能認証であるLEEDゴールド認証を取得済み。
2024年第1四半期には、DHL Expressと日本航空がパートナーシップを強化し、日本、ソウル、上海、台北を結ぶ広範な航空ネットワークを整備した。
マルチソーシング先として人気の高いインドでは、輸出全体が上昇傾向を維持しており、2022年11月から2023年にかけて1.23%の成長を記録しています。DHLの「グローバル・コネクテッドネス・トラッカー」最新版によると、インドは世界貿易におけるシェアが最も増加した国のひとつでもあります。物流サービスに対する需要の高まりに応えるため、DHL Expressはインドのニューデリーに同国初の自動仕分けハブを開設した。
(藤原秀行)