日本のニーズ踏まえ、ヘッド部小型化など施す
三菱重工業は3月4日、グループでETC設備や立体駐車場設備などを手掛ける三菱重工機械システム（MHI-MS、神戸市）が、自動車を自律的に運搬する車両搬送ロボットの国産化を完了、同社工場内で試運転・耐久走行試験を開始したと発表した。
MHI-MSはフランスのベンチャー、スタンレーロボティクスと2021年に協業を開始した際、フランスからロボットのオリジナルモデルを輸入して国内販売するスキームを検討。その中で、国内できめ細かなアフターサービスや日本固有の顧客ニーズに対応するためのカスタマイズを適切に実施するため、国産にする方針に転換した。基幹特許の国内登録を申請・登録するなど、手続きを進めていた。
日本市場モデルは、ヘッド部をSR製より小型化したほか、納入先の要望に応じてヘッドの外装をカスタマイズできる“着せ替えサービス”も実施する。
国産車両搬送ロボット（三菱重工業提供）
着せ替えサービスはMHI-MSが有する国内約100カ所のメンテナンス拠点などのサービス網を車両搬送ロボットでも提供。今回の国産化で日本製の品質とともに迅速なアフターサービスを展開する。
このロボットで、完成車自動搬送の過程では荒天や酷暑などの厳しい環境下でも日々車両搬送に従事している作業者の作業環境を大きく改善できる上、DXや省力化といった物流業界の要請にも応えられると見込む。
ユーザーの利便性向上が希求されている商業施設での自動バレーパーキングでは、ロボットが空きスペースにお任せで駐車してくれるため、これまで敬遠されがちだった遠くの駐車スペースを“近く”に変えられると想定。
空きスペースを探すのに気を取られ、前方への注意力が散漫になることで事故を起こしてしまうトラブルも解消できると期待している。さらに、場内車両走行に伴うCO2排出の抑制にもつながるという。
（藤原秀行）
