取引時の本人確認手続きに不備、犯罪収益移転防止法に違反
経済産業省は12月18日、商船三井に対し、海外居住者向け国際配送・転送サービス「MOL CART」で、取引時の本人確認の手続きに不備があり、犯罪収益移転防止法に違反していたことを確認したとして、12月17日付で是正措置命令を出した。
同社は12月18日、「本命令を厳粛に受け止め、是正措置を講じるとともに、関係者の皆さまの信頼回復に向けて、再発防止に努めてまいります」と謝罪するコメントを発表した。
犯罪収益移転防止法は犯罪で得た収益をマネーロンダリングして犯罪組織の資金源にするのを防ぐため、金融機関や郵便物受け取りサービス業者、クレジットカード事業者、電話受付代行業者らを特定事業者に指定し、一定の取引を対象に顧客の取引時の本人確認と記録作成・保存などを義務付けている。
MOL CARTは国内のECサイトで購入した商品を国外の住居へ転送するサービス。経産省と商船三井によると、犯罪収益移転防止法で本人認証における容貌と本人書類の提示に関し、法令上認められているソフトウェア(撮影機能)による手法のみを認めているが、MOL CARTは写真アップロードの手法にも対応していた。
また、居住住所を証明する書類に関し、MOL CARTは法律の定める範囲外の書類も許容していた。経産省は同法に基づき、再発防止策を2026年1月22日までに報告するよう指示した。
商船三井は、法令で認められる居住住所確認用補完書類の案内不備は今年8月に解消したほか、本人確認の写真と書類は法令上の要件を満たすソフトウェアを使って撮影・送信するよう10月に修正したと説明している。
さらに、既存のサービスユーザーによる再度の本人認証の手続きを完了させるよう取り組んでいるという。是正措置命令に先立ち、商船三井はMOL CARTで新規顧客登録の受付を停止した。
(藤原秀行)









