貿易政策の不確実性は継続と慎重な見方も経済界で広がる
米連邦最高裁判所は2月20日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき各国・地域に課している相互関税は憲法に違反しているとの判決を下した。
判決は、憲法で関税賦課の権限は連邦議会に与えると指摘するとともに、IEEPAが定めている輸入規制の条項について「大統領に関税を課す権限を与えていない」と判断。関税措置は無効との下級審の見方を支持した。
最高裁判事9人のうち、トランプ大統領が指名した保守派を含む6人が違憲判決を支持した。ただ、判決では徴収済みの関税を還付すべきかどうかについては判断を示しておらず、下級審の国際貿易裁判所(CTI)に差し戻した。具体的な還付の手続きや範囲は引き続き司法の場で争われることになり、長期化が避けられそうにない。
一方、トランプ大統領は米連邦最高裁の判決を受け「恥ずべきことだ」と強く批判。即座に、1974年通商法の122条で定めている「国際収支に深刻な赤字が起きた場合の対策」に基づき、2月24日から世界各国・地域を対象に、150日間にわたって一律10%の追加関税を課すと発表した。
併せて、IEEPAに基づく関税の還付については法廷闘争を続けると明言した。
その後、トランプ大統領は2月21日、新たな関税を発動前に15%まで引き上げると軌道修正した。
米国の司法が、関税引き上げをちらつかせて貿易不均衡の是正や対米投資拡大を迫るトランプ大統領の姿勢に明確にノーを突き付けた格好となった。ただ、トランプ大統領は今後もIEEPA以外の法律を根拠にした関税の発動を検討しており、各国の経済界からも貿易に関するトランプ政権の不確実性は続くと慎重な見方が出ている。
違憲と判断したのはIEEPAを根拠にしている関税措置のため、トランプ大統領が昨年5月に打ち出した、幅広い国・地域に向けた相互関税や、カナダや中国、メキシコに課した合成麻薬「フェンタニール」の米国流入を理由とする関税が対象となる。
半面、通商拡大法232条に基づいて自動車や鉄鋼・アルミニウムを対象に、日本など向けに発動している25%の関税と、日米間で合意している15%の自動車関税は対象外。
トランプ政権がこれまでに徴収した関税の還付を求め、既に国内外の企業約1000社が訴訟を起こしている。今回の違憲判決は訴訟の行方にも影を落としそうだ。
(藤原秀行)











