20年度中めど、課題検証し早期実用化目指す
国内で初めて、住宅地の上空をドローン(無人飛行機)が飛行して品物を運ぶ実証実験が2020年度中をめどに茨城県つくば市で行われる見通しだ。スタートアップ企業などが集結し、食品などを購入者の自宅近くに届けることを想定している。早期のドローン物流実用化へ弾みを付けたい考えだ。
政府やドローン関連産業の関係者らは、まず離島や山間部など人口の少ないエリアでドローン物流を開始した上で、将来は都市部の宅配などにも応用することを念頭に置いている。つくば市の実験も将来を見据えて、さまざまなデータを収集する狙いがある。近く実験の詳細が正式に発表される見通し。
実験に参加するのはドローンの安全飛行支援を手掛けるトルビズオン(福岡市)。昨年10月、つくば市が展開している「令和元年度つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」にトルビズオンが提唱する実験が採択されており、実験に向けて準備を進めていた。他には損保ジャパン日本興亜やNTTドコモ、茨城県などを地盤とする食品スーパーのカスミなどが加わる予定。
実験は、カスミの店舗からスマートフォン用アプリを介して注文された商品をつくば市内の住宅街に設けられた専用地点までドローンが基本的に自律飛行して運搬、着陸する見通し。携帯電話通信網を活用して安定的に飛行できるかどうかといった点を検証する。
トルビズオンはドローンの空中使用権を取引する専用ウェブサイト「sora:share(ソラシェア)」を展開、ドローンが安全に飛行できる経路の確保をサポートしている。同サイト運営を通じて得たノウハウを、都市部上空のドローン飛行にも生かしたい考えだ。
昨年10月に開かれた支援事業の最終審査会後の撮影に応じるつくば市の五十嵐立青市長(左)とトルビズオンの清水淳史COO(最高執行責任者、同社提供)
(藤原秀行)