コロナ感染拡大の影響度合い見通せず、開示でも8割強が営業減益見込む
ロジビズ・オンラインが5月14日までに決算を発表した上場物流関連企業49社の決算資料を集計したところ、6割が今期(2021年3月期)の業績予想を「未定」などとして開示していないことが明らかになった。
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している中、業績に及ぼす影響を現時点で合理的に算定するのが困難との見解で一致している。業績予想を開示している残りの企業についても、本業のもうけを示す営業利益が前期(20年3月期)から減少するとみている企業が8割強に上り、経営環境が厳しくなるとの見方が多いことが浮き彫りとなった。
集計は東京証券取引所などに上場し、決算期が3月の物流関連企業を対象に実施。49社のうち、「未定」などとして今期の業績予想数値を開示していないのが61・2%の30社に上った。特に陸運系企業に開示を見送る動きが目立った。
一方、業績予想を発表した19社のうち、売上高が前期より増えるとみているのは5社、営業利益は4社にとどまった。セイノーホールディングスは連結営業利益が前期比で54・8%減、福山通運も38・2%減を見込むなど、先行きに厳しい見方が目立っている。
物流業界では新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響でEC関連の配送が伸びている一方、経済活動の低迷で貨物輸送の落ち込みが続くことが強く懸念されている。トラックドライバーや物流施設作業スタッフの不足による人件費や外注費の上昇も見込まれており、上場物流関連企業にとっても正念場がしばらく続きそうだ。
(藤原秀行)