首都圏大型賃貸倉庫、7~9月の空室率は若干上昇の4・37%

首都圏大型賃貸倉庫、7~9月の空室率は若干上昇の4・37%

関西圏で需要発生し3ポイント超低下―CRE市場動向調査

 シーアールイー(CRE)は10月22日、賃貸倉庫の市場動向をまとめた「倉庫・物流不動産 マーケットレポート(β版) Ver.201809」を発行した。7~9月の賃貸大型倉庫(1万平方メートル以上)は首都圏で空室率が前期(4~6月)から0・58ポイント上昇し4・37%だった。

 同社は「期末に総ストックの約1%弱に相当する巨大なマルチテナント型物件の供給があったため」と解説。同時に、前期より若干減少しているが12万坪を超える底堅い需要が確認できたと説明している。

 
 

 今後の動向については「個別物件の影響が大きいが、供給予定も大きく、顧客の物件選別が進んでいく」と推察している。

「関西圏は2020年第1四半期まで需給バランス改善が続く」と予測

 かねて湾岸エリアの大量供給で需給バランスが崩れていると指摘される関西圏は1年ぶりに大規模な需要が出たことが追い風となり、3・24ポイント低下の10・14%になった。同社は「供給の6・5万坪に対し、需要が10・5万坪と大きく上回った。17年第3四半期以来の高水準」と分析。需要の内訳は、大阪湾岸エリアと北摂・東大阪エリアで約9割を占めているという。

 関西圏の展望に関しては「湾岸エリアの今後の新規供給も限定的であり、同エリアの需給バランスは改善し、関西圏全体においても次のメガマルチ物件が供給される20年第1四半期までは改善傾向が続く」との見方を示している。

 中部圏は2・33ポイント低下の7・52%。同社は今後について「18年は改善傾向を維持すると思われるが、19年は北部・南部の両エリア合計で既存ストックの15%に相当する供給を控えている」として、需給動向を注視する構えを見せている。

 九州圏は福岡エリアで既存物件の空きスペース消化が進み、8・77ポイントと大きく下がって3・51%だった。

 1000坪未満(同社管理分のみ)の賃貸中小型倉庫は、首都圏で0・19ポイント低下の1・02%。都内の湾岸エリアで成約があったことが作用した。CREは「各エリア別に見ても3%未満で、依然中小型倉庫の高いニーズがあることがうかがえる」と強調している。

 
 

(藤原秀行)

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