日本郵便とベンチャーが再配達削減の実証実験へ
日本郵便と物流業界向けのシステムやアプリ開発を手掛けるベンチャーのYper(イーパー、東京)は11月7日、宅配便の再配達削減に向け、不在時に届いた荷物を玄関先に置いた鍵付きの専用バッグに入れておく実証実験を今年12月の約1カ月間実施すると発表した。
専用バック「OKIPPA(オキッパ)」はYperが取り扱っており、宅配ポストより設置が簡便なのが特徴。対面で荷物を受け取るのが不安との声にも配慮できる。
同社が7月に東京23区で約5週間、利用テストを実施した結果、参加した人の再配達率を従来の約60%から15%まで減らせたという。
両社は東京・杉並区の住民を対象に1000世帯の参加を呼び掛けており、協力者には専用バッグを無料配布する予定。お歳暮などで宅配便の利用が大きく増える年末に再配達をどの程度減らすことができるのか、効果が注目される。
各世帯に1つずつ配置、スマホアプリで荷物到着通知
OKIPPAは生地に撥水加工を施している。折り畳むと13センチメートル四方と手のひらに収まるサイズになる一方、広げれば宅配便の「120サイズ」の箱を楽に収納できる。
ドアノブに吊るして固定するワイヤーの専用ロックと内鍵のダイヤル式南京錠を使うことで、荷物を無断で持ち去られるのを防ぐ。OKIPPAに荷物が入ると、スマートフォン向けの専用アプリに通知される。既にアマゾンや楽天といった大手通販サイトで利用可能だ。
今回の実証実験では特定エリアで大量にOKIPPAを使うことで、どの程度の宅配再配達削減効果があるかを見極める予定だ。
YperはOKIPPAの利点として、世帯ごとに1つずつ設置するため、アパートやマンションの居住者間で宅配ボックスの利用をめぐるトラブルを回避できるほか、設置工事も不要で導入コストを低く抑えられる点などをアピール。
「通販サイト経由での日用品の購入比率が高まる中、大切なものは従来と同様に時間指定で対面、日用品など単価の安い商品はOKIPPAのような置き配バッグといったように、多様化する購入商品に合わせた受け取り方法を選択可能にしたい」と強調している。
(藤原秀行)
OKIPPAの利用イメージ(Yper提供)