ビジョナル・インキュベーション集計、コロナ禍でもニーズ高いと指摘
人材関連サービスのVisionalグループでM&A案件のマッチングサイト「ビズリーチ・サクシード」を運営するビジョナル・インキュベーションは3月22日、物流業界のM&A動向に関する調査結果を公表した。
2020年4~12月に「ビズリーチ・サクシード」上で公開された物流関連の企業譲渡案件数が前年同期比1・5倍、18年の同期比では3・6倍に達し、全公開譲渡案件数の4%超を占めた。「ビズリーチ・サクシード」の累計譲り受け企業6900社のうち物流関連会社は220社を超えた。ビジョナル・インキュベーションは「物流業界のM&Aニーズが高いことがうかがえる」と分析している。
20年12月末~今年2月初旬に「ビズリーチ・サクシード」を利用するM&Aの専門家「M&Aアドバイザー」を対象に行ったアンケート結果によると、今後半年間でM&Aのニーズが増えそうな譲渡案件の業種の8位に「物流・倉庫」が入った。同社は「今後、物流関連の譲渡案件がさらに増加する」と予想している。
一方で、20年10月末~11月初旬に「ビズリーチ・サクシード」を利用した企業向けのアンケート結果でも、譲り受け企業の76%が「コロナ禍においてM&Aはチャンスだと捉えている」、87%が「コロナ禍においても、M&Aを前向きに検討している」と回答した。同社は譲り受けを希望する企業も増えるとみている。
ビジョナル・インキュベーションの前田洋平ビズリーチ・サクシード事業部長 は「ビズリーチ・サクシードでは、現在検討が進んでいる案件の中で地場運送、長距離運送など複数の物流業界の案件で成約の可能性が高い。運送業界の中でも新しいエリアに物流拠点を置き、配送網を広げたいという理由で買収を検討しているケースが多い傾向にある」と解説。
「譲り受け企業の中には、アフターコロナにドライバー・トラック不足になることを見込み、先行投資として、企業の事業戦略に合う良い案件があれば積極的にM&Aを検討しているケースが多くある。ドライバーの勤怠管理の強化が求められる中、長距離運送の場合、中間に拠点を作りたいとのニーズも見受けられる」と指摘し、物流業界のM&Aは譲渡企業・譲り受け企業ともに今後さらにニーズが増加すると前向きな見方を示した。
(藤原秀行)