温室効果ガス排出量、現状の対策延長では13年比で28%減にとどまる

温室効果ガス排出量、現状の対策延長では13年比で28%減にとどまる

三菱総研が予測、運輸部門向けにカーボンプライシングの導入提言

三菱総合研究所は6月28日、政府が打ち出している2050年までに国内の温室効果ガス排出量を実質的にゼロとする「カーボンニュートラル」の達成に向けた具体策の提言を発表した。

現状の対策を延長して行うだけでは、最大でも排出量は13年比で28%の削減にとどまり、政府が目標とする46%減には遠く及ばないと予測。国民や企業の行動変容を促すとともに、技術と制度の両面でブレイクスルー(従来にない方法で事態を打開)する必要があると指摘した。

行動変容を促進する施策として、電力がどこで生み出されたかを証明する「トラッキングシステム」の構築により再生可能エネルギー由来の電力を選びやすくすることなどを列挙。さらに、温室効果ガス排出量に応じて脱炭素賦課金(炭素税)を徴収するなどの「カーボンプライシング」を実施、社会や産業の構造を大きく変化させるよう提案した。

カーボンプライシングについては、運輸部門はガソリン車・ディーゼル車からEV(電気自動車)への移行や合成燃料・バイオ燃料の活用を後押しするため、脱炭素賦課金(炭素税)を課すことを想定。併せて、設備更新を促す補助も実施するよう求めた。

カーボンプライシングは25~30年に実施した場合、CO2排出量1トン当たり数千円が見込まれ、家庭や事業者向けの燃料価格は1~2割上昇する見通しを示した。

(藤原秀行)

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