【独自取材】ANACargoが航空便使った産直配送強化、エドノイチ運営の3rd compassと連携し「受注翌日」拡大

【独自取材】ANACargoが航空便使った産直配送強化、エドノイチ運営の3rd compassと連携し「受注翌日」拡大

ブランド設定し一般消費者にも価値アピール

ANACargoは航空便を使った産地直送を強化している。全国の様々な特産品を取り扱い、事業者から一般消費者への直販(D2C)を手掛けるウェブサイト「江戸乃市(エドノイチ)」を展開している3rd compass(サードコンパス、東京都渋谷区渋谷)とタッグを組み、全国の海産物などを受注の翌日に配送できる体制を構築している。

新型コロナウイルスの感染拡大による飲食店の営業時間短縮などのあおりを受け、全国の特産品の消費が減って農業・漁業事業者らの収益が悪化しているため、航空便で迅速に輸送できる手段を確立し、地域経済を支援する狙いもある。ANACargoは航空輸送の価値を一般消費者にも正しく知ってもらうため、「Transported by ANA Cargo」ブランドを設定、積極的に売り込んでいく構えだ。


エドノイチのウェブサイト


産直食材のイメージ(3rd compass提供)

商品を全国47空港へ空輸可能

エドノイチはコロナ禍の打撃を受けている農水産業の生産者応援を前面に打ち出しているのが特徴で、商品掲載に加え、実際に生産に携わっている人たちの思いを紹介。特に鮮度が高い状態で届けるものを「鮮活(せんかつ)商品」として提供するなど、鮮度へのこだわりも強い。

昨年のエドノイチ立ち上げ当初からANACargoと3rd compassは北海道・稚内、鹿児島の両空港を発送拠点とし、羽田空港まで海産物を航空輸送する体制を整備。鹿児島の生産者から鹿児島空港まで海産物を運ぶ際、地元の南国交通が運行している空港連絡バスの空きスペースを使って貨客混載し、生産者の負荷を軽減するなど、協力関係を構築している。

今年3月にはANACargoと3rd compassが業務提携し、結び付きをさらに強めている。現在はエドノイチで離島も含めた全国47の空港を取り扱い対象に設定、幅広い地域の特産品を受注の翌日には首都圏の消費者へ配送できる体制を着々と整えている。

3rd compassの木村幸太郎代表取締役CEO(最高経営責任者)は「コロナ禍による航空便減便で生産者が思うような時間に商品を運ぶのが厳しくなった中で、ANACargoさんのお力を借りることができたのは、生産者の方々を支援する上で非常に大きな意味があった」と語る。

今年5月には広島のローカルテレビ局、広島ホームテレビが推奨する優れた県産品を取り扱う通販サイトも別途運用を始めるなど、消費者の関心が集まってきており、3rd compassとしても空輸による迅速な物流を引き続き、大きなセールスポイントにしたい考えだ。

エドノイチを通じて海産物などを全国から届けられるようになったのに伴い、ANACargoは航空輸送のブランディングに注力。新鮮な海産物など商品の梱包や容器に「Transported by ANA Cargo」のシールを貼り、消費者にも空輸の存在価値を積極的に訴求していこうとしている。

ANACargo国内顧客販売部顧客販売課の矢部貴之氏は「販促する仕組みをいかに作っていくか検討した結果がブランディング強化だった。生産者など関係者の方々に加えて、一般消費者の方々の目にも触れる機会を作りたかった」と狙いを説明する。

業務提携を通じ、今後は「受注当日配達」の実現に向け物流網を構築することを目指す。トラックなど他の輸送と連携することも視野に入れている。


取材に応じるANACargo・矢部氏(左)と3rd compass・木村CEO


「Transported by ANA Cargo」のシール

(藤原秀行)

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