未対応と流通額成長率に25ポイントの差
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は9月2日、オンラインで開催したインターネット通販「楽天市場」出店事業者向けのイベントで、2020年3月に導入した、3980円以上の購入で「送料込み」と表示する実質送料無料制度について、賛同する店舗が全体の9割を超え、同制度に対応していない店舗より売り上げを伸ばしていると説明した。
同社は当初、同制度を始める際、全出店事業者を対象に参加を義務化する方針だった。同社は送料無料になる条件を統一して明示することでユーザーが商品を購入しやすくなり、売り上げの伸びが期待できることを理由に挙げているが、一部出店者が「優越的な立場を利用した一方的な規約変更」と批判。公正取引委員会が独占禁止法に抵触する可能性を指摘したため、一律導入でのスタートを断念していた。
三木谷氏は同制度を導入した店舗の流通総額全体に占める比率も90%を突破したと強調。導入した店舗とそうでない店舗の間で、流通額の成長率に約25ポイントの差が見られると指摘し「絶対に伸びるのでぜひ導入を検討していただきたい」と呼び掛けた。
三木谷氏はまた、提携している日本郵便と協力し、楽天市場で当日配送や商品を好きな時に受け取ることが可能な宅配ロッカーの設置など、物流面の対応を強化する方針を示した。全国で7カ所展開している物流施設についても、さらに整備していきたいとの意向を見せ、「将来は北海道や沖縄でも拠点新設を視野に入れていく」と語った。
(藤原秀行)