ネット通販、物流からの中小事業者ビジネス発展寄与で連携

ネット通販、物流からの中小事業者ビジネス発展寄与で連携

ヤマト・長尾社長とアマゾン・永妻本部長が対談で一致

ヤマトホールディングスの長尾裕社長(ヤマト運輸社長兼務)は10月5日、アマゾンジャパンがオンラインで開催した大規模イベント「AmazonECサミット」で、同社セラーサービス事業本部の永妻玲子事業本部長と対談した。

長尾社長はアマゾンのインターネット通販に出品している販売事業者に提供している配送サービスに関し「われわれとしては荷物を増やすという目線ではなく、中小規模の事業者の方々のビジネス発展にいかに寄与できるかという目線でサービス提供ができるのではないか」と説明。

永妻本部長も「日本企業の99%を占める中小企業に日本経済活性化の非常に大きなポテンシャルがある」と語り、両氏が中小の販売事業者支援重視で一致していることを重ねて強調した。

併せて、永妻本部長は中小の販売事業者は入出荷など物流業務に避ける人的リソースが限られていることなどにも言及。今年4月にヤマト運輸が新たに加わった、販売事業者に代わって商品をアマゾンの物流拠点「フルフィルメントセンター」に納品するサービス「FBAパートナーキャリアプログラム」を例に挙げ、配送など物流領域でサービスの品質や水準の向上に努める意向を明示。長尾社長も応じる考えを見せ、足並みをそろえた。


対談する永妻本部長と長尾社長(アマゾンジャパン提供の動画画面をキャプチャー)

長尾社長は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でのeコマース利用状況について「従来お使いでなかった層まで、かなりオンラインの消費体験をされ、定着が進んでいるように思っている。諸外国のEC化率を鑑みてもまだまだ伸びる可能性が非常に高い」と分析。配送現場の人手不足が解消されない中、ヤマトとしても、荷物の受け取り手が商品の置き場所を指定することで不在による再配達を回避できる「置き配」などを進めている点を紹介。ECの荷物量の伸びに応じられる体制の構築を継続する考えを表明した。

永妻本部長は「この1年はサービス品質の維持へより一層スピーディーで的確な判断を迫られた」と回顧。アマゾンが以前から提供している、入出荷や在庫管理など物流を包括的にサポートする「フルフィルメントbyAmazon(FBA)」でも、コロナ禍が販売事業者の経営に影響を及ぼしている現状を踏まえ、2020年度の料金一部改定を今年6月まで延期するなど、さまざまな配慮をしてきたと報告した。

また、「FBAは少ない初期投資でeコマース参入を可能にする」と述べ、中小の販売事業者に対するeコマースへの参入や事業拡大を後押ししているとの自負をのぞかせた。

長尾社長はFBAパートナーキャリアプログラムに触れ、「いかに中小の事業者の方々がより良いビジネスを展開できるかということの入り口の部分でご一緒できるのは当社にとっても非常に意味が大きい。配送という最終工程だけでなく、より上流の工程まで含めて付加価値を提供していきたい」と意気込みを語った。

(藤原秀行)

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