独自開発の管制システムなど利用、実用化目指す
ドローン開発などを手掛けるA.L.I. Technologiesは1月19日、高知県四万十町と共同で、年間を通じてドローンの活用可能性が高いと思われる物流や防災、調査、測量の用途別に実証実験を行い、全て成功したと発表した。
今回の実証実験はKDDIとパーソルプロセス&テクノロジーが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」に係る公募に採択されたのに伴い、展開した。
四万十町は中山間地域が多い上に高齢化に伴う免許返納が進んでいることを背景に、災害対策や安定的に物資を中山間地域へと届けることが可能なドローン配送システムなど、生活インフラの強化が求められている。
今回の地域実証は継続的な運航管理システムの活用における安全面、コスト構造、オペレーションフロー、地元の住人の受け止め方など、ドローンが社会実装される上での様々な要素および課題を検証した。
また、検証を通して無人航空機及びUAV向けの空のインフラの運用方法の確立を達成するため、レベル4(都市部上空の目視外飛行)時代の新たなドローン物流システムの在り方を、地元企業のエレパ、四万十公社の協力を得て、四万十町の地域住民に提案した。
実験の際は、A.L.I.が独自開発したUAV管制システム「C.O.S.M.O.S.(コスモス)」と、NEDOの事業で開発された運航管理統合機能(FIMS)を連携させ、空間と飛行の緻密な一元管理を可能にした。仮に公民館などをドローン配送の拠点に設定し、該当箇所から定時運行や有事の際の航路を設定することで、自治体が主体となってドローンの活動を把握できるようになり、安心で安全かつ安定的なドローン物流システムを地域の中で運用することが可能という。
本実証では、C.O.S.M.O.S.接続モジュールを搭載したドローン機体をFIMSに連携させることで、自治体が実施したい検証項目が網羅できるのか、山間部の上空などLTE(携帯電話回線網)の電波が弱い場所などを把握した上で安定的に機能するのか、四万十町におけるドローン定期便システムとして持続可能な配送サービスになり得るかどうかの仮説検証を行った。
物流の用途については、地元住民に親しまれている店舗「ライフショップまつした」から山間地域に転々と存在する集落同士を結んだ生活必要物資のドローンによる定期配送を実施した。
防災の面では、四万十町で災害時の津波被害が想定されている興津地区と東又地区には県道52号線のみが山間部をつなげているため、震災時に土砂崩れが発生し興津地区が陸の孤島となる可能性が高いとみられている。有事の際の避難場所となっている四万十町B&G海洋センターを災害支援物資運搬の出発点として、山を超えて興津ヘリポートへ災害支援物資のドローン運搬を実施した。
今後は実際に四万十町で実用化を目指す。A.L.I.は今後も包括連携協定に基づき、地域の住民と連携・協力しながら課題やニーズに沿ったドローン活用システムの社会実装への貢献を図る。
(画像はA.L.I.提供)
(ロジビズ・オンライン編集部)