アルファレオHDが乾汽船株式を一部売却、保有比率17.94%に低下

アルファレオHDが乾汽船株式を一部売却、保有比率17.94%に低下

クックパッド株の購入資金捻出か

乾汽船の筆頭株主となっている投資会社のアルファレオホールディングス(HD)が今年2月以降、複数回にわたって乾汽船株式を売却し、保有比率が3月4日現在、傘下のアルファレオへの貸し株分を含めて計17.94%まで低下していることが分かった。

アルファレオHDとアルファレオが関東財務局に提出した大量保有報告書と変更報告書の情報を総合すると、昨年10月時点ではアルファレオHDとアルファレオで計29.99%を保有していた。半年足らずのうちに10%以上を手放したことになる。当時の乾汽船の株価から推計すると、売却額は数十億円に上るもよう。

乾汽船は3月11日、アルファレオHDの乾汽船株式保有比率が、アルファレオへの貸し株分を含めても20%を下回ったことを変更報告書で確認しており、アルファレオHDが乾汽船の「その他の関係会社」に該当しなくなったと発表した。

アルファレオHDは乾汽船株式の一部売却について理由を開示していない。ただ、大量保有報告書によると、アルファレオは2021年9月ごろからレシピ投稿・検索サイト運営のクックパッド株式を複数回にわけて順次、株式市場で買い増し、今年2月時点で8.11%(アルファレオHDの持ち分も含む)を保有している。クックパッド株の取得に費やした資金を、乾汽船株式の売却で得た資金の一部でカバーした可能性がある。

また、乾汽船が21年6月の定時株主総会で提案した、アルファレオHDならびに同社と関係がある企業に対象を絞った買収防衛策への変更が賛成多数で承認されたことや、海運市況の高騰を受けて乾汽船の株価が持ち直していることも、売却判断に影響した可能性がある。

変更報告書によると、アルファレオHDは2月17日から3月4日までの間、計11回にわたって株式市場で乾汽船株を売却した。3月4日の売却完了時点で、アルファレオHDの乾汽船株保有比率が9.81%、アルファレオが8.13%となっている。

アルファレオHDが引き続き、段階的に乾汽船株を売却するのか、一定程度の同社株式は保有し続けるのかは現時点で不明。

アルファレオはクックパッドの株主としては、創業者の佐野陽光氏(43.36%、21年6月時点)に続く程度の保有比率になっているもよう。クックパッドは21年12月期の連結決算(国際会計基準)で当期損益が23億円の赤字に転落するなど業績が伸びず、株価はピーク時の10分の1程度まで落ち込んでいる。アルファレオは経営改革をクックパッドに促し、株価上昇を図る狙いがあるとみられる。

(藤原秀行)

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