クラベとアトムが海上コンテナの内貨転用開始、CO2排出年間1092t削減見込む

クラベとアトムが海上コンテナの内貨転用開始、CO2排出年間1092t削減見込む

コストは28%削減、トラックドライバー不足に対応

自動車向けの耐熱特殊電線などを手掛けるクラベ(静岡県浜松市)と作業用手袋・長靴などを製造・販売するアトム(広島県竹原市)は3月17日、竹原市で海上コンテナの荷主間利用を同日に始めたと発表した。


クラベとアトムの海上コンテナ荷主間利用の流れ(両社プレスリリースより引用)

クラベが進めている国内外輸送最適化の一環で、クラベの日本における輸出入を担う海外工場生産管理センターが、第22回物流環境大賞特別賞を受賞した案件をさらに改善し、海上コンテナの荷主間利用に最適な物流体制をアトムと協力して構築した。コンテナの輸送距離を短縮し、トラックドライバー不足やCO2排出量の抑制、輸送費の低減に寄与できると見込む。

福山港(広島県)から竹原市のアトム本社工場へ輸入で使用したコンテナから製品を荷降ろしした後、約10キロメートル離れたクラベのサプライヤー工場に回送。同工場で自動車用耐熱電線材料を積み込んだ後、再び輸出に向け福山港に輸送する。

空コンテナの輸送距離短縮で従来からCO2排出量を年間約1092トン、輸送費は約28%減らせると試算。利用するトラックの台数も抑えられるため、トラックドライバー不足や周辺の交通量の低減に寄与するとみている。

従来のコンテナラウンドユースは輸入企業が使用した空のコンテナを輸出企業が継続して利用、そのまま輸出するパターンが一般的。多くの場合、コンテナは船社が所有しているため、同一船社で輸出入を行う必要がある。

両社が今回採用したコンテナラウンドユースは内貨転用のため、コンテナをそのまま輸出するのではなく、港近郊の海貨倉庫まで陸送する際に海上コンテナを使用。いったん貨物をコンテナから降ろすため、輸出入で船社を合わせる必要がなくスケジュールに余裕を持たせられるため、コンテナのマッチングがしやすくなる。

輸出ブッキングを意識せずに行える上、エクセルやメールなどの簡易な管理に適しており、専任者不在の中堅・中小企業でも安易に行えるという。また、今回のような荷主主導のインランドデポを介さない方法は、特別な施設や設備を必要とせず既存の各自工場で実施できる点もメリット。

内貨転用はそのまま輸出しないことから、海上コンテナをトラック代わりとして無制限に使用可能。一般的なコンテナラウンドユースと異なり、いったん貨物をコンテナから降ろすため、輸出しない貨物の輸送にも適用できる。今後は取り組みを拡大させていきたい考えだ。

(藤原秀行)

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