コロナ感染落ち着き経済活動再開が追い風か、先行きの見方は厳しく
日本銀行が7月1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年3月)から11ポイント上昇しプラス9だった。
中堅企業は7ポイント上昇しマイナス11、中小企業も3ポイント上昇しマイナス18だった。
3月の前回調査は大企業の業況判断DIが昨年12月から横ばい、中堅企業と中小企業は悪化していた。
DIは新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されているのを受けて持ち直していた。
3月はロシアによるウクライナ侵攻で軽油価格が上昇するなど影響が広がり、経済の先行きも不透明になっていることが、中堅・中小企業の景況感を押し下げたとみられるが、コロナ感染者数が落ち着き、経済活動が戻ってきたことが再び景況感の改善につながった可能性がある。
ただ、先行きの見方に関しては、大企業がプラス2で6月の結果より7ポイント低下しているほか、中堅企業はマイナス15で4ポイント低下、中小企業はマイナス19で1ポイント低下するとみている。今後の展望は厳しく予想している向きが多いようだ。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9313社が調査対象で、回答率は99.3%だった。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から5ポイント低下しプラス9、大企業非製造業は横ばいのプラス9だった。
(藤原秀行)