ESRと英資産運用大手M&Gアジア部門が日本の物流施設開発で提携、第1弾は名古屋市の案件

ESRと英資産運用大手M&Gアジア部門が日本の物流施設開発で提携、第1弾は名古屋市の案件

ESG重視、環境配慮型案件に投資

ESRグループは8月30日、英国の資産運⽤⼤⼿M&G(エムアンドジー)インベストメントのアジアにおける不動産運⽤部⾨M&Gリアル・エステート・アジアと三大都市圏での物流施設開発促進へ、同社が運⽤する「M&Gアジア・プロパティ・ファンド」を通じて資本提携したと発表した。

M&Gリアル・エステート・アジアが最⼤3.5億⽶ドル(約490億円)を同ファンドに出資。物流施設のポートフォリオ総資産額は10億⽶ドル(約1400億円)に拡⼤する⾒通し。

提携の第1号案件として、M&Gリアル・エステート・アジアは同ファンドを通じ、ESRが名古屋市で手掛けているマルチテナント型物流施設「ESR名古屋南ディストリビューションセンター(DC)2」の開発にかかる出資額の過半を負担。ESRが完成後の施設運営を担当する予定。


「ESR名古屋南DC2」完成イメージ(ESR提供)

「名古屋南DC2」は名古屋市港区に立地し、地上4階建て、延床⾯積は4万8753平方メートルを計画。22年11⽉に着⼯、23年10⽉の竣⼯を見込む。名古屋港への中間地点と名古屋都市圏の配送拠点として機能を発揮する需要の⾼い物流拠点とみている。

ESRはESGを経営の核とし、持続可能な社会の実現のため2025 年までに達成すべき⽬標や重要課題を特定した「ESG2025ロードマップ」の戦略に則り、ESGへの取り組みを推進。今年6⽉に国連責任投資原則(UNPRI)の署名機関となるなど、グループ全体でサステナビリティ経営の⾼度化を進めており、持続可能な物流施設・データセンターの開発へ積極的に取り組んでおります。

M&Gは「持続可能な将来のために投資する」ことを戦略に掲げ、投資イノベーション、ESGやインパクト投資で業界をリード。同社もUNPRIの署名機関となっており、低炭素経済に向けた⼤規模投資の促進を⽬指す国際NPO(非営利活動法人)「気候債券イニシアティブ(CBI)」のメンバーでもある。50年までに炭素排出量を実質ゼロにするため、地球温暖化に⼤きな影響を与えるといわれる⽯炭⽕⼒関連の投資を先進国では2030年までに、新興国では40年までにそれぞれ投資対象から除外することを決めている。

「名古屋南DC2」は全館LED 照明や外壁には断熱性能の⾼いサンドイッチパネル、ヒートポンプ式空調や節⽔器具といった省エネルギーの最新設備機器を導⼊するなど、環境負荷低減に配慮した建築計画を立案しており、CASBEEのAランク認証を取得予定。1.5メガワット規模の⾃家消費型太陽光発電所を稼働させ、グリーンデザインも積極的に取り⼊れるなど、再⽣可能エネルギー性能を⾼め、テナント企業の運営効率向上につなげていくことを念頭に置いている。

ESR とM&Gリアル・エステート・アジアはこれまでにもESR傘下のジョイントベンチャーが千葉県市川市で保有する「ESR市川DC」と愛知県弥富市の「レッドウッド弥富DC」の2案件で主要な持ち分に関する取引をそれぞれ21年4⽉と8⽉に⾏った。両施設ともESRが掲げる開発理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.(⼈を中⼼に考えたデザイン)」に基づいて開発、従業員にとって快適で安全な職場環境を創出し、環境に⼗分配慮した持続可能な先進的物流施設となっており、CASBEE Aランク認証を取得済み。弥富DCはLEEDゴールド認証も取得し、市川 DCは1メガワット規模の⾃家消費型太陽光発電所を運営している。

両社が開発段階から提携するのは名古屋南DC2が初となる。

【ESR名古屋南ディストリビューションセンター2 概要】
■所在地:愛知県名古屋市港区本星崎町字南 3998-9 他
■敷地⾯積:23,775 ㎡(7,192 坪)
■延床⾯積:48,753 ㎡(14,748 坪)
■⽤途地域:⼯業専⽤地域
■構造:4 階建て/耐震構造
■着⼯:2022 年 11 ⽉ 1 ⽇(予定)
■竣⼯:2023 年 10 ⽉ 31 ⽇(予定)
■アクセス:
【⾞】 国道 23 号(名四国道)「⻯宮 IC」約 1.8km/名古屋⾼速 3 号⼤⾼線「笠寺 IC」約 2.8km
名古屋⾼速 4 号東海線「船⾒出⼊⼝」約 3km/伊勢湾岸⾃動⾞道「東海 JCT」約 6km
【電⾞】 名鉄築港線「東名古屋港駅」から徒歩約 10 分(800ⅿ)、名鉄常滑線「⼤江駅」まで徒歩 17 分(1.6km)
■名古屋市中⼼部 12km/中部国際空港 34km/名古屋港⾶⿃ふ頭北コンテナターミナル 14km

(藤原秀行)

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