24時間体制を想定、「宅配などで付加料金の予定なし」
日本航空(JAL)経営戦略部Modal Innovation Project 推進室の西尾真治室長とヤマト運輸経営戦略部Modal Innovation Projectの下簗(しもやな)亮一シニアマネージャーは11月22日、両社グループが2024年からヤマト向けの貨物専用機(フレーター)を運航する件に関し、オンラインで記者会見し、運航路線設定の背景などを説明した。
ヤマトの下簗氏は、東京と札幌、北九州、沖縄をそれぞれ結ぶ便など4路線を設けることについて「900kmを超える幹線輸送はトラックドライバーが今後不足してくることを想定した。トラックは中距離や短距離の路線に投入し、ドライバーが働きやすい環境を整備していく」と解説。トラックの代替手段として安定輸送確立を図ることを明らかにした。
また、沖縄便については、航空貨物輸送の需要が増えていることを受けた増強の意味合いもあると語った。
下簗氏によれば、4路線のうち東京~北九州と東京~札幌(新千歳)については、日中は成田空港、夜間は羽田空港をそれぞれ使うことを予定しており、24時間体制の運航を計画。成田~沖縄(那覇)~北九州の“三角運行”も計画しているという。
下簗氏は料金設定について、フレーターは既存のトラックを代替するのが主目的のため、新たな輸送商品の開発は現状で予定しておらず「宅配などで付加料金を取る予定はない」と語った。
海外へのフレーター運航については「まず国内線で準備を進めている。将来は国際線も飛んでほしいという声はたくさんいただいている。お客様のお声を聞きながら、いろんな検討を進めていきたい」と述べ、需要動向などを見極めながら将来は国際線の運航を検討する可能性があるとの見方を示した。
西尾氏は、フレーターの運航主体が、当初計画していたJAL系のLCC(格安航空会社)ジェットスター・ジャパンから同じくJALグループのLCC、スプリング・ジャパンに変更した理由について、スプリング・ジャパンは中国からのインバウンド(訪日観光客)輸送をメーンに据えているため新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けており、貨物輸送を担うことで事業基盤を強化していきたいと報告。「貨物便により積極的に取り組んでいきたい」と語った。
現状では、東京~北九州が1日9便(4.5往復)、東京~札幌が10便(5往復)、東京~沖縄と沖縄~北九州がそれぞれ1便(片道のみ)を検討しているという。
フレーターのイメージ(JALとヤマト運輸提供)
(藤原秀行)