名古屋市で実証実験、定性的効果を確認
災害情報の提供や防災関連の新技術開発などを手掛けるSpectee(スペクティ)とNTTビジネスソリューションズは3月1日、名古屋市役所で2月6日、災害発生時の迅速でリアルタイムな情報収集・共有の実現と、その活用によるDX化の効果測定を目的として、NTTビジネスソリューションズが提供するビジネスチャット「elgana(エルガナ)」と、スペクティが提供するAIリアルタイム危機管理サービス「Spectee Pro」を連携させた実証実験を行ったと発表した。
災害発生時、自治体内では現場の状況を迅速に把握し、共有することが求められる。収集した災害情報は、復旧作業や被災状況の住民周知などの災害対応に活用される一方、数多くの災害情報の選別も含め、必要な情報の取得、精査、確認に時間と自治体職員の稼働を要していることが課題だった。
また、自治体職員は事前に収集した災害情報と、現地の被災状況を合わせて報告する必要があり、情報の確認・精査に時間と労力を要することも負担が大きかった。
スペクティとNTTビジネスソリューションズは課題の解決に向け、名古屋市の協力を得ながら、災害時の情報収集や共有、職員稼働の削減にもつながる新しい防災DXサービス提供を目指している。
Spectee Proが強みとしている、SNSを含む各種情報を一元的に集約して可視化する機能と、ビジネスチャットが特徴として持つ、双方向性を掛け合わせて新しい防災サービスの開発につながる仕組みの実証を行った。
具体的にはSpectee Proの地図上に、elganaで撮影した画像と作成した文章を投稿する仕組みを新たに構築。elganaのチャット機能を用いて、クローズドな環境で情報を共有できる機能を提供する。
Spectee Proで提供されるSNSを含む各種情報と、elganaで取得した現場からの情報が合わせて地図上に表示されることで、都度更新される災害情報をリアルタイムに確認できる利便性と効果、サービスの有用性や改善点の検証を実施した。
両社は災害時のリアルタイムな情報収集・共有を可能とし、発災時における迅速な初動行動につながることが期待できると説明している。
【実証実験イメージ】
【実証実験で使用した「Spectee Pro」画面】
【実証実験で使用した「elgana」投稿画面】
これまでSpectee Proで提供していたSNSを含む各種情報と、ビジネスチャットで収集する現場情報を掛け合わせることで、さらに利便性が高まると感じたという定性的な効果が確認できたという。
両社は実証実験を基に、災害時の迅速な情報収集・共有サービスとして、新しい防災DXサービスの提供に向けた検討を開始。2023年4月の提供開始を目指す。
(藤原秀行)※いずれもSpectee提供