国交省の官民検討会が中間取りまとめ、「カスハラ」対策強化なども提示
国土交通省は6月9日、航空機の誘導など空港業務(グランドハンドリング・保安検査)の人手不足などへの対応策を検討する「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」(座長・加藤一誠慶應義塾大学商学部教授)の中間取りまとめを公表した。
新型コロナウイルス感染拡大で激減したインバウンド(来日旅行者)の本格回復が期待されている中、「航空機の運航に不可欠な空港業務に従事する人手不足が一つの要因となり、空港内における混雑等の課題が顕在化してしまっている」と指摘。航空業界の脱炭素化促進といった課題に向き合うためにも、官民が連携して対応していく必要性を強調した。
具体策として、今年秋ごろまでの短期的な対策は賃上げの原資とするための業務受託料の引き上げを図るとともに、乗客からの嫌がらせ(カスタマーハラスメント)の対策を強化して働きやすい環境を整えることや、グランドハンドリングの業界団体を設立し、関係者がより緊密に問題へ対応できる体制を構築することなどを打ち出した。
2023年度末までの中期的な対策は、新設する業界団体を中心にして資格や車両仕様を見直したり、特定技能の在留資格を持つ外国人が定着できるよう環境を整備したり、自動化機器を取り入れたりすることなどを列挙。
24年度以降の長期的な対策は、多重委託構造の解消や時代遅れの雇用慣行・契約観光の見直しを進めるとともに、保安検査を先進機器で効率化する「スマートレーン」の導入を図ることなどを示している。
(藤原秀行)