「コーポレートガバナンスの機能不全もたらしている」と批判
愛媛を拠点とする大王海運(愛媛県四国中央市)は6月14日、大株主となっている製紙中堅の北越コーポレーションが6月29日に開催する定時株主総会で、同社の岸本哲夫社長の再任案に反対すると発表した。
大王海運は製紙の原材料や紙製品の輸送・保管・配送などを得意としている。グループの美須賀海運と北越株式の約10%を共同保有しているほか、大王海運単独で製紙大手の大王製紙株式の約5%を所有するなど、製紙業界との結び付きが深い。
大王海運は6月14日に公開した声明で「北越コーポレーションのコーポレートガバナンスには重大な懸念を抱いている」と表明。北越に対し2013年以降、経営戦略や資本政策などを株主総会で議論しようとしてきたが、北越の経営陣からは「合理的に納得し得る説明が十分にはなされてこなかった」と主張している。
その関連で、北越が大王製紙株式の約25%を保有しているものの、保有目的が合理的に北越の経営陣から説明されておらず、北越が株主総会で大王製紙経営陣の選任に反対票を投じるなど「事業上の協業を図るどころか、まさに犬猿の仲と呼べるような対立関係に陥っている」と指摘。収益にプラスとなっていない現状に苦言を呈している。
23年3月期に大王製紙が多額の赤字を計上したことで、北越も大王製紙株の損失を被った点を挙げ、「こうした問題を引き起こしている北越の経営陣や取締役会の責任は重く、コーポレートガバナンスの機能不全は看過できない」と強調している。
さらに、岸本氏が取締役として24年間、社長として15年間在任しており「独裁体制とさえ形容し得る状況に陥っている」と批判。岸本氏がコーポレートガバナンスの機能不全を会社にもたらしていると厳しい見方を示し、従前と同じく反対票を投じると明言している。
岸本氏に対しては、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも株主として再任反対を表明している。
(藤原秀行)