トラック距離10分の1に短縮しCO2を4割削減見込む、「2024年問題」にも対応
機械専門商社の山善は7月4日、九州~関東の自社物流倉庫の拠点間輸送で6月28日にRORO船の活用を開始したと発表した。
輸送時のCO2排出量削減を図り、「グリーン物流」を推進していくのが狙い。
活用するRORO船(左)と、トレーラーを積み込む車両の様子
同社はLMS(統合物流管理システム)・WMS(倉庫管理システム)の稼働や、物流資産を事業部横断でシェアした地域密着の小規模倉庫の稼働など、物流網の最適化を図る一方、持続可能な「グリーン物流」への取り組みも推進。
特に、モーダルシフトによるCO2削減に取り組んでおり、昨年は鉄道コンテナの利用による輸送を、対前年比1.4倍となる776本まで増やし、物流のCO2排出量の約4%に相当する428t-CO2の削減を達成した。
モーダルシフトの新たな取り組みとして、同社の家庭機器事業部の物流拠点「ロジス九州」(福岡市)と「ロジス関東」(群馬県伊勢崎市)の拠点間輸送を対象に、運転車両を切り離してトレーラー(貨物)部分のみを輸送するRORO船の活用を開始した。
「ロジス九州」から約12km離れた博多港で、商品を積載したトレーラーをRORO船に積み込み、ドライバーは運転車両を切り離して下船。トレーラーのみ東京港へ海上輸送する。その距離は約1160kmで、東京港に到着後は、別のドライバーが運転車両をトレーラーに連結して、「ロジス関東」まで約144kmの道のりを届ける。
今まで約1100kmだったトラックの輸送を10分の1近い約156kmまで短縮。1回の輸送当たり約450kg-CO2、従来より約40%のCO2が削減できるとみている。
まず月1~2回の運用でスタートし、今後は毎週の定期的な運用を目指す。さらに、「ロジス九州」と関西の拠点の間の輸送にも活用していくことを視野に入れている。
ドライバーの拘束時間を短くすることで「2024年問題」への対応を進めるとともに、陸上インフラが寸断された場合のBCP対策としても活用したい考え。
従来の輸送との比較(ロジス九州発、ロジス関東着のケース)(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)