国交省有識者委、トータルの発生件数横ばいと報告
国土交通省は7月11日、東京・霞が関の同省内で、国交省は2019年に策定した「29年までに高速道路上の逆走による重大事故ゼロ」の目標達成に向け対応を議論する「高速道路での逆走対策に関する有識者委員会」を開催した。
同委員会を開いたのは19年10月以来、約3年9カ月ぶり。
席上、国交省は逆走の発生件数が17~22年の平均で年間約190件とおおむね横ばいが続いており、そのうち約2割が事故に発展、負傷・死亡事故も毎年起きている現状を報告。15~22年に起きた逆走事案の要因としては、道間違いが発端となったものが約6割に上っていることに触れた。
その上で、本線上で逆走しだす事案については統一的な対策内容が定まっておらず、新たに検討する必要があるとの認識で一致した。今後、国交省や高速道路運営会社などが対策を詰める。
委員会の会合
同日の委員会では、国交省がこれまで進めてきた対策の概要を説明。分合流部や出入口部で路面に大きく進むべき方向を矢印で表示したり、ラバーポールを立てたりする物理的・視覚的な対策は全ての対象箇所で完了しているほか、料金所のプラザ部(一般道寄りの場所にある広場)やICの一般道との接続部については9割超の対象箇所で対策を実施しており、23年度中に完了する予定となっていることに言及した。
また、道間違いなどで目的のICで降りられなかった場合は追加料金を払わずに次のICで降りた上で再度逆方向の高速に乗ることができる「特別転回制度」の案内強化についても、同じく23年度中にICへの案内表示が完了すると紹介した。
高速道路運営会社は逆走対策の技術を民間企業から公募。逆走する車をレーダーで検知して電光表示で警告したり、路面に突起物(ブレード)を出して衝撃を与え直接注意喚起したりするなどの技術を選定したことも発表した。
さらに、繰り返し逆走が起こる場所には公募した技術を採用、再発を防ぐことなども説明した。
委員からは「高速道路のユーザー側への働き掛けが足りない。啓発のためには単に危ないというだけではなく、全ての人に起こり得るということを理解させる必要がある。逆走した人への聞き取り調査をすべき」との意見が出た。他にも、特別転回制度の存在をもっと周知すべきだとの声や、逆走は都市部以外の交通量がそれほど多くない高速道路で起きる可能性が大きいため、高速道路の種別に対策を整理する必要があるとの指摘も聞かれた。
(藤原秀行)