【独自】RFID最大手の米エイブリィ・デニソン、日本で事業拡大へラボ開設

【独自】RFID最大手の米エイブリィ・デニソン、日本で事業拡大へラボ開設

物流業界などへ情報発信、企業ごとの現場に最適なソリューション提案にも注力

UHF帯のRFIDで世界最大手の米Avery Dennison(エイブリィ・デニソン)は、日本の事業拡大を目指し、2022年に東京都港区虎ノ門でラボ「Avery Dennison Smartrac (エイブリィ・デニソン・スマートラック)Toranomon Lab.」を開設した。同社の多岐にわたるRFIDソリューションを日本企業に紹介するのに加え、各企業の店舗や物流センターなどの現場に合ったソリューションを実際に試せる施設として運営している。

ラボを軸にして、RFIDは物流などの業務効率化だけにとどまらず、商品1個単位で精緻なトレーサビリティを可能にしたり、リアルタイムで在庫の動静をつかめたりと付加価値が非常に高い点を広くアピールしていこうとしている。トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い現場業務の混乱が懸念されている「2024年問題」を抱える物流業界にも照準を合わせている。


虎ノ門のラボ。RFIDタグを付けた荷物の情報読み取りなどを実体験できる。加工用機械なども備えている

デモだけでなく「ディスカッションできる拠点に」

エイブリィ・デニソンは1935年創業。様々な消費財のパッケージに用いられる粘着ラベルや工業資材などが主力で、2000年ごろからRFIDを使ったソリューションに参入。アパレル業界や大手スーパーなどが採用している。2022年のグローバル全体の各事業の売上高は90億ドル(約1兆2000億円)に上る。

日本でも、「ユニクロ」を展開しているファーストリテイリングがエイブリィ・デニソンのRFIDソリューションを取り入れ、セルフレジを運営していることで知られる。日本はアパレルにとどまらず、物流業界など他の領域でもRFIDソリューションの需要が見込めると期待、情報発信を強化していくことにした。

虎ノ門のラボはビルの3階に入居。設置したかご車にRFIDのタグを取り付けた商品を搭載したまま、リーダーで商品の情報をスピーディーに読み取っていることなどを実際に確認できる。小売・食品・化粧品・物流などの関係者が、自分の現場の実態に即したRFIDタグの在り方などを、エイブリィ・デニソンの日本スタッフと議論しながら詰めていくことが可能だ。

エイブリィ・デニソン・スマートラック Market Development Directorの三井朱音氏は「ソリューションのデモだけでなく、お客様とディスカッションしながら実際にトライしてみる拠点として位置付けている。お客様の課題を特定した上で、タグやRFIDリーダーを選び、実際にお客様の現場で実証実験するなど、さまざまな活用方法を検討できる。RFIDは業務効率化にとどまらず、トレーサビリティなど非常に高い価値を生み出せることを、日本のお客様にも広く知っていただきたい」と狙いを語る。

エイブリィ・デニソン・スマートラックの浅野光太郎Marcomm Manager,Japanは「物流業界向けのセミナーなどを通じて情報発信していきたい」と意欲を見せている。


ラボに掲げられたエイブリィ・デニソンのロゴ

(藤原秀行)

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