日本ミシュランタイヤ、事業開始の地・群馬県太田市に本社移転完了

日本ミシュランタイヤ、事業開始の地・群馬県太田市に本社移転完了

2024年問題解決目指す「ぐんまの運輸デジタルイノベーション」も始動

フランスのタイヤ大手ミシュランの日本法人、日本ミシュランタイヤは8月3日、群馬県太田市に本社を移転、8月1日に登記を完了したと発表した。日本で事業を開始した

旧本社の東京都新宿区のオフィスは縮小し、 群馬県太田市に機能を統合する。今後は産官学連携を図りながら価値創造を促進する。

新本社住所:
〒373-8668 群馬県太田市植木野町880
※新宿、 名古屋のオフィス住所は変更なし
本社移転日(登記)2023年8月1日 (火)
従業員業務開始日: 2023年7月3日 (月)より順次


2024年4月竣工予定の新コラボレーションスペース外観イメージ


内観イメージ

ミシュランは今後の方針として、「People(人)」「Planet(地球)」「Profit(利益)」の3つの「P」を柱に事業を推進する姿勢を継続すると強調。

環境配慮策として、「2050年には100%持続可能なタイヤを生産する」との公約達成に向け、環境負荷の低い材料の使用などを引き続き推進する。

また、本社の太田サイトは、環境の観点から既存建物をそのまま活かすとともに、 社員が創造・革新を生み出せる場となる「コラボレーションスペース」を創設する。デザイン・設計・建設は太田市の石川建設が率いるオール群馬企業から成る 「群馬WOOW」プロジェクトチームが手掛ける。

構造となるコンテナは全て群馬県で製作することで、運搬時のCO2排出量を極力抑える。 また、建材は再利用しやすいものを採用する。例えば、一般の建築で使用される石膏ボードはクロスや塗料で仕上げるため再資源化が困難だが、今回は石膏ボードを素地のまま使用するか、または石膏ボードの代わりに断熱材をシートで覆い、上から木版をすのこ上に固定する方法を採用、再資源化できるようにする予定。

新たなコラボレーションスペースは、人材を重視する観点から、「集う・アイディアが生まれる」 をテーマに掲げ、異なる知見を持つ社員が自由闊達に知識を増幅し、社会に貢献できるようにする場所として位置付ける。「サステナビリティ」「コラボレーション」「ABW(仕事内容などに合わせて自由に働き場所を選ぶ考え方)」を具現化することを目指しており、今年11月に着工、2024年4月の竣工をそれぞれ見込む。

社員の自主性と生産性向上のため、オフィスへの出社日数は本人とマネージャーによる協議で決定した。「ライフ」を楽しみながら「ワーク」を最大化するミシュランの革新的な試みという。出社日数の指示を会社から社員に下ろす上意下達の「ルール化」ではなく、社員自らが考え、マネージャーと自律的で自由な働き方を決める責任感を伴うプロセスとして運営する。その実現のため、 東京からのシャトルバス運行や就業時間特例など、さまざまな福利厚生を適用する方針。

併せて、太田自動車大学校でのボランティア活動を展開する方針を明らかにした。タイヤの基礎知識や空気光てん作業で安全を確保するための技能講習を行っているミシュラン本社フランスの高等教育機関グランゼコールや、群馬県内をはじめとする国内の大学からインターンとして学生を受け入れる。地域貢献や次世代育成の一助として、地域の子供たちの学習支援や学校への講師派遣などのボランティア活動を積極的に進める。

さらに、従来のタイヤビジネスにおける貢献に加え、8月1日から群馬県下の物流企業の美松運送、車両動態運行管理のトップランナーのドコマップジャパン、群馬大学とコンソ
ーシアムを組み、「ぐんまの運輸デジタルイノベーション」の取り組みを開始した。DXの力で物流業界の「2024年問題」解決と、環境に優しく荷主に選ばれる運送事業を目指すのが狙い。産官学連携事業として2023年度の県のデジタルイノベーション加速化補助金を活用する。

昨年4月には、 太田サイト内に積層造形技術の普及と発展を目的とした、 金属積層造形 「ミ シュラン AM アトリエ」 を開設した。 技術推進を図るGAM(一般社団法人群馬積層造形プラッ トフォーム)は着実にメンバーを増やし、 「群馬から世界に」 発信する革新的技術の検討を進めている。

また、今年4月にはドライビングシミュレータをコアにしたエンジニアリングサービスを 提供するS&VLとの協業も発表。オープンイノベーションの拠点として発展させていく構え。


タイヤや車両運行管理をDX化し、生産性向上と環境に優しい運送につなげる


AMアトリエ造形物:ターボシャフトエンジンパーツ デモ品)

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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