脱炭素へ普及後押し
伊藤忠商事は9月22日、アンモニアの舶用燃料利用の社会実装を目指し、アンモニアを主燃料とするコンテナ船を想定した燃料補給時の安全性について関係者間で協議、検討することを目的とした覚書を、同社を含む世界8企業・団体間で締結したと発表した。
覚書に参加しているのはスペイン・アルヘシラス港、オランダ・ロッテルダム港、フランスのCMA CGMとトタルエナジーズマリンフュエル、シンガポールのパビリオンエナジー、デンマークのA.P.モラー・マースク、商船三井、伊藤忠商事。
加えて、フランスのル・アーヴル・ルーアン・パリ港(ハロパ港)、シンガポールのMESD(政府・大学傘下の海事研究機関)、ドイツ・ベルンハルトシュルテシップマネジメント、日本シップヤードがオブザーバーとして参加、米船級協会ABSと仏船級協会BVがサポートする予定。
アンモニアは国際海事機関(IMO)が掲げる温室効果ガス排出削減戦略に貢献するゼロエミッション燃料として期待が高まっている。海事関係者の間で多くの検討、開発が進められている。
本覚書は、アンモニアの舶用燃料利用を世界規模、特にコンテナ船における利用を通じ社会実装を図るための重要なマイルストーンと位置付けており、世界的なアンモニアのサプライチェーン構築と、伊藤忠とパートナー企業によるアンモニア燃料船の開発で構成された「統合型プロジェクト」を実現したい考え。
本覚書は2021年に発足した伊藤忠を含む34企業・団体による協議会と、22年に発足した伊藤忠を含む16企業・団体による港湾協議会の枠組みをさらに発展させた形となる。将来開発が見込まれるアンモニアを主燃料とするコンテナ船を想定した燃料補給時の安全性評価に焦点を絞り、関係者(港湾主管庁、大手コンテナ船社、燃料供給事業者、海運会社)とともに協議、検討を進める。
一般的なコンテナ船運航は、運航効率化のためにコンテナターミナルでの荷役と並行した燃料供給が求められる。本取り組みではアンモニアの物性を考量した上で、コンテナターミナルでの荷役とアンモニア燃料供給の並行作業を前提とした安全性評価を目指す。
伊藤忠は現在、コンテナ船に先駆けアンモニアを主燃料とする大型ばら積み船の開発を進めており、2026年の市場投入を目指している。アンモニアを主燃料とするコンテナ船の開発についても20年代後半の市場投入を目標に掲げている。今回の取り組みもその一環。
(プレスリリースより引用)
(藤原秀行)