改善傾向続くも、先行きは不透明感
日本銀行が12月13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年9月)から2ポイント上昇しプラス16だった。
中堅企業は前回から変わらずプラス8、中小企業は3ポイント上がってプラス2となった。
全ての規模で業況判断DIがプラスとなるのは、新型コロナウイルス禍前の2019年12月調査以来、4年ぶり。
DIはコロナ禍による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されていることが追い風となり、総じて持ち直しの基調が持続している。
一方、先行きの見方に関しては、大企業がプラス17で12月の結果から1ポイント上がっている半面、中堅企業はプラス2で6ポイント低下、中小企業はマイナス2で4ポイント低下している。燃油代の高騰などが景況感の重しになっている可能性がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9072社が調査対象で、回答率は99.3%だった。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から3ポイント上昇しプラス12。景況感が改善したのは3四半期連続となった。大企業非製造業も3ポイント上昇しプラス30に達した。
(藤原秀行)