ロクステック海事部門グローバル・マネージャーが会見
スウェーデンに本社を置き、ケーブルやパイプなどを通す箇所「貫通部」に防火や水密の性能を持たせるシーリング(密封)処理大手Roxtec(ロクステック)のタナー・ドゥルソス海事部門グローバル・マネージャーは4月8日、東京都内の日本法人オフィスで記者会見し、経営方針などについて説明した。
ドゥルソス氏はIACS(国際船級協会連合)が2020年に船舶や海洋関連設備の電線貫通部に関する新たな安全規制を導入したことなどから、水や気体の漏れを防ぐ船舶の高品質なシーリング処理の重要性がさらに高まっていると指摘。「日本は非常に有望な市場」と強調し、貨物船や洋上風力発電設備など向けに事業拡大を図る姿勢を示した。
会見するドゥルソス氏
ロクステックは1990年設立。海外ではシーリングに用いるシール材やモジュールで圧倒的な知名度の高さを持ち、洋上風力発電設備などで幅広く採用されている。
シール材は耐火や気密、水密性を備え、紫外線や振動、塩害にも強い。貨物船では火災や浸水が起きた場合、被害を最小限にとどめ船員の安全を確保する上で、貫通部を確実にシーリング処理しておくことが強く求められる。
ロクステックのシーリングモジュール。はがせるレイヤーを持つ2個の半体と、ケーブルやパイプの配線時に取り外される中心コアから成る
金属製パイプ向けの溶接不要のソリューション(いずれもロクステック提供)
ドゥルソス氏は船舶の安定稼働のため、安全設備の一部として貫通部を適正に管理する必要があり、シーリング処理は防火扉や消火設備などと同じく船内の安全を守るシステムだと明言。
IACSの規制強化で船舶の配線貫通部に関する工事の記録を適切に保存・管理することなどが定められている。ドゥルソス氏は高性能のシーリング処理に加え、貫通部の施工記録などをデジタルで管理できるシステムなども提供することで船主や船会社、造船事業者を包括的にサポートしているとアピールした。
また、海事部門では当初の客船に代わって近年はコンテナ船や自動車船などの領域でシーリング処理のニーズが順調に伸びていることを明らかにし、「日本でもより優れた製品を提供していきたい。われわれはソフトウェアを活用して適切な配線の設計支援なども可能だ」と述べた。
会見に同席した日本法人の村越元彰マネージング・ディレクターは「製品をリピートして使っていただけるお客様が多く、海事部門だけで売り上げ規模を2024年は昨年実績から2倍にできると期待している。長期間メンテナンスが不要といった点も船主さんやオペレーター(船会社)さんらに訴えていきたい」と語った。
(藤原秀行)