GROUND・宮田CEOが指摘、吉野副社長はAI活用した環境変革が重要課題になると展望
4月10日に大阪市の「インテックス大阪」で開幕した西日本を代表する大型物流展示会「関西物流展」に出展しているGROUNDの宮田啓友社長CEO(最高経営責任者)と吉野宏樹副社長は会場内でロジビズ・オンラインの取材に応じた。
宮田氏は人手不足の深刻化を受け、企業の自動化への意欲が高まっていると強調。吉野氏も物流現場の人件費上昇傾向が持続していることから、AIを生かした現場変革が今後さらに重要な課題になってくると予想した。
両氏はその上で、GROUNDが手掛けている、物流統合管理・最適化システム「GWES(ジーダブリューイーエス)」などを展開することで、物流センター内の業務の全体最適を進められると自信を示すとともに、複数のロボットを効率的に管理できる技術がますます注目されるようになると展望、関係者が協調して取り組むことに期待をのぞかせた。
宮田氏(左)と吉野氏
GROUNDは今回の展示会に関し、製造業向け人材派遣のウィルテックのブースで、テクトレ、Multiway Robotics、Standard Robotとともに共同出展している。Multiway Robotics製の自動搬送フォークリフトやStandard Robots製のAMR(自律型搬送ロボット)「Oasis(オアシス)」などを展示。自動搬送フォークリフトによる無人・省人化での荷物の積み降ろしや、ロボットアームと連携したAMRなど、製造・物流現場の自動化を実現する様々なオペレーションを実演している。併せて、庫内業務の効率改善を後押しするソフトウェア「DyAs(ディアス)」などもアピールしている。
宮田氏は荷主企業や物流事業者がロボットを採用しようとする際、費用対効果の面が重視されていたと指摘した上で「最近では、費用対効果は1であればいいと言われるようになった」と紹介。以前とは異なり、効果が費用を大きく下回るような事態にならない限り、ロボット導入は敬遠されておらず、ハードルが下がっているとの実感を明らかにした。
さらに「それよりも、事業の継続・維持のために自動化が必須と考える企業が増えている」と解説。サービスプロバイダーとしても、個々の顧客の現場に合った、全体最適を実現できる自動化を実現していくことに強い意欲をのぞかせた。
展示している「Oasis300」(GROUND提供)
楽天グループから工具などの通販大手MonotaRO(モノタロウ)を経て3月にGROUND副社長となった吉野氏は、物流関連業務の時給が最近は年間3%程度ずつ上がっていると言明。「人手不足は進んでおり、人件費も上がっている中で、オペレーションミスがますます許されない空気を感じる。AIを使った現場の可視化と判断の標準化・最適化はこれからの重要な課題だと考えている」との持論を展開した。
MonotaROで物流部門長を務めていた経験から「物流センター内の一部を自動化しても全体最適にはつながらない。全体を統合して考えることが必要だ」と明言。同時に、「とはいえ、やれることから取り組んでいくことが重要」とも語り、全体最適という最終ゴールに到達するまでに、自動化機器の選定などを着実に進めていくよう訴えた。
(川本真希、藤原秀行)