自社分のセキュリティー強化
Terra Drone(テラドローン)は6月26日、子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーのUnifly(ユニフライ)が、ベルギー初となるUTMのためのサイバー認証の枠組みを開発したと発表した。
この枠組みに準拠して自社UTMのソフトウェアとネットワークのセキュリティーを強化した。
ユニフライが参画している、欧州諸国が共同で設立した宇宙開発のための機関「欧州宇宙機関」(ESA)が資金提供するサイバー認証のためのUTMの概念実証(PoC)に関するプロジェクトの一環で実施した。セキュリティーなど先進技術分野のコンサルティングを手がけるNexova GROUP(ネクソバグループ)と共同で進めている。
(テラドローン提供)
ドローンや「空飛ぶクルマ」などの社会実装に向けた動きが世界的に進む中、特に目視外飛行(BVLOS)の実現に不可欠なツールとして無人航空機システム(UAS)が注目されている。その一方、従来の航空機が飛行する空域への統合には、高度な自動化によるサイバーセキュリティーリスクなどの課題を解決する必要がある。
そこで、プロジェクトは課題に対応するため、EU(欧州連合)の規制とサイバーセキュリティー基準に準拠するUTMのためのサイバー認証の枠組みを提案。その枠組みに準拠したUTMシステムを設計、開発、展開することを目的としており、技術フェーズ(第1段階)と製品フェーズ(第2段階)の2段階に分けられる。
第1段階の完了を間近に控え、ユニフライとNexova GROUPは、ベルギー科学政策局(BELSPO)と欧州宇宙機関(ESA)が主催したワークショップで、関係者からのフィードバックをはじめ、規制の分析やサイバー認証スキームの確立、およびギャップ分析について中間結果として公表した。
また、ユニフライは、第1段階で実施したベルギーの空域におけるPoCを通じて特定された緩和策を基に、本プロジェクトにより設定された厳しいセキュリティー基準を満たすよう自社UTMを強化した。
現在、プロジェクトは攻撃シナリオを実行することで、セキュリティー対策を実施したUTMと実施していないUTMを比較する検証作業を進行中。それぞれの結果は検証報告書にまとめる予定。並行して、第2段階での製品化に向けた具体的なアウトラインを定義するための議論も既に始まっている。
(藤原秀行)