ニデックグループ、「空飛ぶクルマ」のeVTOL開発手掛ける米企業に30億円出資へ

ニデックグループ、「空飛ぶクルマ」のeVTOL開発手掛ける米企業に30億円出資へ

ブラジル・エンブラエルと連携強化

ニデックは7月1日、米国子会社のニデックモータが7月2日付で、米国で「空飛ぶクルマ」のeVTOL(電動垂直離着陸機)開発を手掛けるEve Air Mobility(イヴ・エアー・モビリティ)に2000万ドル(約30億円)を出資すると発表した。出資比率は1.71%となる予定。

ニデックモータは昨年6月、ブラジルの大手航空機メーカーEmbraer(エンブラエル)と合弁会社Nidec Aerospace(ニデック・エアロスペース)を設立。同社はニデックグループの持つ優れたモーター技術とエンブラエルの航空機向け制御技術を組み合わせ、世界で競争力のあるアーバンエアモビリティ産業向け電機駆動システムを開発・製造することを目指している。

「空飛ぶクルマ」などの次世代エアモビリティ (AAM) 産業は自動化された航空輸送システムで、新たな交通ソリューションとして全世界から注目を集めている。

ニデックエアロスペース製の電機駆動システムはイブ・エアーへ最初に供給し、その後は世界中のeVTOLメーカーへ提供していくことを想定している。


(プレスリリースより引用)

エンブラエルは17年にeVTOL開発プロジェクトをスタートし、20年に同プロジェクトをスピンオフすると同時にイブ・エアーを設立、ニューヨーク証券取引所に上場した。エンブラエルは今回の出資後もイブ・エアー株式の8割超を所有している。

イブ・エアーは航空機開発と型式認証取得で高い知見を有するエンブラエルの支援の下、機体開発を進めており、2024年末までに飛行テスト、26年に型式認証の取得と量産開始を目指している。イブ・エアーはeVTOL量産開始準備の一環で、パートナー企業から資金を調達しており、ニデックモータも賛同した。

ニデックグループはeVTOLへの電機駆動システムの供給に加え、将来は大型産業用無人ドローン、ハイブリッド次世代航空機、電動次世代航空機といった広範な航空関連市場への進出を構想している。今回の出資でイブ・エアーと、その親会社のエンブラエルとの関係を強化し、ニデックグループの持つ小型、軽量、高効率のモーター技術を活用して航空産業電動化の技術革新リーダーとしての地位を確立していきたい考え。

イブ・モーターのeVTOL機の地上整備マニュアルで、ニデックグループのニデックASI製充電器が推奨されることが決定しており、航空機関連向け周辺インフラビジネスにも積極参入することを計画中。

ニデックASIが保有する充電器の技術とバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)製品のエネルギー管理技術を統合し、安全で信頼性のある高効率の電力システムをイブ・エアーが評価した。今後、急速大容量充電の需要が見込まれるeVTOL市場や、無人航空機市場にも事業を展開していく構え。

(藤原秀行)

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