首都圏の大規模マルチ型物流施設、空室率は13年9カ月ぶり10%台

首都圏の大規模マルチ型物流施設、空室率は13年9カ月ぶり10%台

CBRE7~9月調査、需要は堅調も空室消化に以前より時間

シービーアールイー(CBRE)が10月31日公表した2024年第3四半期(7~9月)の大規模マルチテナント型物流施設(延床面積1万坪以上)の賃貸市場動向調査結果によると、首都圏の期末時点の空室率は10.1%で、前期(4~6月)から0.4ポイント上昇した。

前期から上がったのは24年第1四半期(1~3月)以来、6カ月ぶり。新規に竣工した物件で賃貸借契約が半分程度しか進んでいないことなどが影響した。空室率が10%の大台に乗ったのは2010年の第4四半期(10~12月)以来、13年9カ月ぶり。

今期(7~9月)の新規供給は8棟、18.3万坪で、面積ベースでは竣工時に約半分の稼働率にとどまった。

ただ、新規需要は13.6万坪で、19~23年の5年間の四半期平均(14.1万坪)と同水準。需要自体は堅調を維持しているとみられる。

築1年以上の物件の空室率は6.1%で、前期から1.2ポイント上昇した。今期は新たに10棟が築1年以上に該当したが、満床で稼働しているのはこのうち2棟のみという。

CBREは「以前と比べて空室の消化に時間が掛かっていることに加えて、埼玉県、茨城県などで複数の空室が発生し、首都圏全体の空室率を押し上げる結果となった」と分析している。

今期の実質賃料は坪当たり4500円で、前期から0.2%と小幅上昇した。


4大都市圏の空室率推移


首都圏の需給バランス


首都圏のエリア別空室率(いずれもCBRE資料より引用)

(藤原秀行)

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