先進施設開発に参画、需要増期待
シンガポールの上場不動産会社キャピタランド・インベストメント(CLI)と商船三井は11月5日、CLIが東南アジアとインドのプライベートファンド向けに、商船三井グループから総額2億6100万シンガポールドル(約300億1500万円、1シンガポールドル=115円で計算)の資金を調達することで合意したと発表した。
商船三井はCLIの東南アジア初の物流不動産投資ファンド「CapitaLand SEA Logistics Fund」 (CSLF) に1億3000万シンガポールドル(約149億5000万円)を出資する。CSLFのセカンドクローズとなり、エクイティ総額は4億シンガポールドル(約460億円)に達した。
東南アジアで物流施設の需要が伸びているのを踏まえ、CLIが推進している自動化機器などを取り入れた先進的物流施設の開発へ積極的に参加することにした。
CLIは併せて、商船三井の不動産子会社ダイビルから1億3100万シンガポールドルを調達、5億2500万シンガポールドル(約603億7500万円)のファンド「CapitaLand India Growth Fund2」 (CIGF2) をクローズする。
今回の投資受け入れで、CSLFのファンド運用資産総額 (FUM)は10億シンガポールドル(約1150億円)に拡大。CIGF2のFUMも10億シンガポールドルを超えると見込んでいる。
商船三井は、東南アジアでスマート・ロジスティクス・インフラの投資・開発を行うCSLFの32.5%に相当する出資持分を保有したことになる。
ダイビルはインドの主要都市部に位置するグレードAのビジネスパークに投資をするCIGF2の25%出資持分を保有する。日系でもう1社参画している三菱地所は、CIGF2に50%出資している。
CLIは投資家との強い連携を保ちながら、FUM拡大を目指すアセットライト戦略に沿って、投資家の利害を一致させるため両ファンドへ自らも出資している。
商船三井からの出資により、CSLFは開発用地の取得による、さまざまな物流投資への展開を加速することが可能になると想定。東南アジアの物流市場は、主要拠点における優良資産の供給が限られている中で、引き続き堅調な基盤を示しており、CSLFのシードアセットの「OMEGA 1 Bang Na」はタイ・バンコク首都圏の物流一等地に戦略的に立地するビルド・トゥ・スーツ(BTS)開発案件。
自動化に注力した「スマート・ロジスティクス」施設の同物件は、常温・冷蔵冷凍倉庫として運営し、自動格納・検索システム (オートメイテッド・ウェアハウス機能) を備えた2棟で構成している。延床面積は19万㎡超に上り、竣工後は単独倉庫としては国内最大となる見通しで、タイにおけるCLI初の物流施設案件。第1期の完成は2026年初頭、全体の完成は27年2月を予定している。
OMEGA 1 Bang Naの完成予想図(CLI提供)
CLIは東南アジア7カ国国に370以上の物件を保有しており、FUMは410億シンガポールドル(約4兆7150億円)。商業施設やオフィスビル、ロッジング (ホテル、賃貸マンションほか宿泊系施設)、産業不動産、物流、ビジネスパーク、ウェルネス、セルフストレージ、データセンターアセットと多様なアセットでポートフォリオを構成している。
OMEGA 1 Bang Naの概要
所在地:タイ・サムットプラカーン県
(Bang Phil Noi, Bang Bo District, Samut Prakan 10560, Bangkok, Thailand)
構造:常温庫2棟、冷凍冷蔵庫1棟
規模:敷地面積:約20万㎡
収容能力:約16.9万パレット
全棟竣工時期:2027年2月(見込み)
(藤原秀行)