ドローン物流「実証データの収集・蓄積と制度設計への反映が必要」

ドローン物流「実証データの収集・蓄積と制度設計への反映が必要」

三菱総研・大木主任研究員、早期実用化へ実験拡大に期待

三菱総合研究所は6月11日、東京都内の本社で、「空の産業革命~ドローン物流と空飛ぶクルマの実現に向けて~」をテーマとするメディア意見交換会を開催した。

同社科学・安全事業本部フロンティア戦略グループの大木孝主任研究員は、国内外でのドローン(小型無人機)物流や「空飛ぶ車」の実用化を目指した取り組み状況を解説した。

その上で、日本でドローン物流や空飛ぶ車の活用を早期に実現させるため、「飛行に関する実証データの収集・蓄積と制度設計への適正な反映が重要」と指摘。山間部や離島などでドローン物流の実験が活発に行われ、気象が飛行に及ぼす影響などのデータが多く集まることに期待感を示した。


ドローン物流を展望する大木氏

大木氏は、都市部でドローンによる配送が行われている例として、スイスで病院間の血液サンプルなど医療品配送が目視外飛行で実施されていることを紹介。トラブル回避のため、ドローンは墜落した際の衝突エネルギーが最小限になるような機体構造を採用していたり、パラシュートを搭載して落下速度を抑えられるようにしていたりする点に言及した。

併せて、米国内で州政府や地方自治体などと民間企業が連携し、10カ所で第三者の上空をドローンが飛び、荷物配送やインフラ点検などを手掛けていることも説明。3年間の期間中、安全性や各用途への適用性などの点で実証を進めていることに触れた。

住民理解の醸成が不可欠、自治体巻き込むことも重要

こうした流れを踏まえ、日本で政府や関係業界が2022年度のスタートを目標としている「レベル4(有人地帯での飛行)」に向け、機体の認証制度や登録・遠隔識別の仕組み、万が一トラブルがあった場合の被害者救済、運行管理システム(UTMS)のセキュリティーなどが主な論点になると整理した。

その中でもドローン物流の実現には、大きく分けて「新しい空の利活用に向けた制度整備」と「社会受容性の向上」がポイントになると持論を展開。このうち前者は、技術進展を妨げず、まずはトラブルのリスクが少ないエリアで機体を飛行させ、安全技術が発展すればより広い場所で飛ばせるようにする柔軟な制度設計が必要との見解を明らかにした。

後者については、住民理解の醸成が不可欠として、利便性と安全性をPRする活動を行ったり、住民が実際にドローンを見たり触ったりして親しむ機会を創出したりする必要性を強調した。さらに、技術開発や飛行実証などの面で地方自治体を巻き込んでいくことも提唱、自治体と民間企業の取り組みをつなぐ機会の促進を訴えた。

大木氏は「まずは今のドローンがどれくらい安全なのかという(事故発生率などの)データを早急に集めて制度に反映していかないと(目標達成は)難しいのではないか」と述べ、実証実験を重ねていくことの重要性を訴えた。

物流事業者のドローン物流への関わりをめぐっては「トラックを代替できるほどのレベルの機体を使わないとなかなか拠点間の物流には採用できないだろう。まずはコンビニの商品配送のようにちょっとしたものを欲しい時に運ぶ方向で使われていくのと併せて、大型の機体開発を進めるという2つの軸で話が進んでいくのではないか」と予測した。

空飛ぶ車をめぐっては、海外で米国のウーバーやキティホーク、欧州のエアバスといった企業が既に開発を進めていることをプレゼンテーション。日本では政府や民間企業などが事業開始を23年と見込んでいるのを踏まえ、ドローンより高い空域を飛ぶ機体の安全管理などが求められるとの見方を示した。

(藤原秀行)

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