指摘受け320万円相当支払い
公正取引委員会は11月21日、住友重機械工業グループで鋼材の圧延用ロールや艦船・浮標を係留するためのマリンチェーンなどを手掛ける住友重機械ハイマテックス(愛媛県新居浜市)に対し、下請け企業に金型や木型を無償で保管させていたのは下請法違反に当たるとして、再発防止を図るよう勧告した。
公取委によると、同社は圧延用ロールやマリンチェーンの製造を委託している下請け企業に自社で所有している金型や木型、治工具を貸与。しかし、5社に関し、遅くとも2023年4月から今年7月まで、金型などを使って製造する部品などの発注の有無や時期の見通しを具体的に示さないにも関わらず、合計178個を無償で保管させ続けていた。
公取委は同社のこうした行為が、下請法で禁じている「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するとみて、再発防止の勧告に踏み切った。
同社は公取委の指摘を受け、金型など119個を回収するとともに、保管費用に相当する約320万円を下請け企業に支払ったという。
同社は11月21日、「お取引様をはじめ関係者の皆様に、ご迷惑とご心配をおかけしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において下請法に抵触する行為が発生することのないよう、金型等の適切な管理に留意した下請法の教育を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講じ、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表した。
公取委は今年7月、やはり下請け企業に金型を無償で保管させたことなどを受け、トヨタ自動車子会社で救急車の製造などを手掛けるトヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD、横浜市)に再発防止を勧告。金型の無償保管への対応を厳格化している。
(藤原秀行)