三井物産やJALなども参加、脱炭素図る
商船三井は12月5日、100%子会社で脱炭素技術への投資を担う米MOL Switch(MOLスウィッチ)が昨年7月、将来の株式転換の権利と引き換えに資金提供を行う転換証券を活用し、三菱商事とともに日本企業として初めて、大気中から直接CO2を分離して回収する技術「Direct Air Capture(DAC、直接空気回収技術)」を開発する米Heirloom Carbon Technologies(エアルーム・カーボン・テクノロジーズ)に出資したと発表した。
エアルームは総額で1.5億ドル(約225億円)の資金調達を完了。商船三井に加えて日本企業は三井物産、日本航空(JAL)なども参加した。各社の具体的な出資額の内訳は開示していない。
エアルームのDAC施設
エアルームのDAC技術は、従来のアミン法とは異なり、世界で2番目に豊富で安価な鉱物の石灰岩を原料として使用することで、コストを下げるのが特徴。同社が参画するプロジェクト「Cypress」(サイプレス)は米エネルギー省から最大6億ドル(約900億円)の補助金を受け、年間約100万tのCO2除去を目指す。
商船三井は出資することで、海運領域の脱炭素につなげていきたい考えだ。
エアルームのDAC技術概要
STEP1 :
石灰岩を採掘・粉砕
STEP2 :
煆焼炉で石灰岩を高温焼成
酸化カルシウム(CaO)とCO2に分解
CO2は地中貯蔵や他の原料として活用
STEP3 :
CaOと水(H2O)を付加させ 水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成
STEP4 :
Ca(OH)2をトレーに敷き詰めて大気中のCO2を吸着させる
再び石灰石となり、再利用へ
出資先概要
企業名 | Heirloom Carbon Technologies, Inc. |
---|---|
所在地 | 米国カリフォルニア州 |
設立年 | 2020年 |
代表者 | Shashank Samala (CEO) |
会社ホームページ | https://www.heirloomcarbon.com |
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用