発注側の一方的な価格決定を禁止、発荷主と運送事業者の取引も規制対象に追加

発注側の一方的な価格決定を禁止、発荷主と運送事業者の取引も規制対象に追加

政府の有識者会議が下請法改正で報告書、「トラックGメン」ヘの情報提供も保護対象

公正取引委員会と中小企業庁は2024年12月25日、コスト上昇分を適切に商品やサービスの価格へ転嫁できるよう下請法の改正などを検討する有識者会議「企業取引研究会」(座長・神田秀樹東京大学名誉教授)が取りまとめた報告書を公表した。

この中で、業務を発注する事業者に対し、下請け事業者との間で価格の協議に応じるよう求めることを提案。発注側事業者が一方的に価格を決めることを禁じるよう訴えている。

また、発荷主が運送事業者に対して運送を委託する取引も下請法の規制対象に加えることを盛り込んでいる。

政府は2025年の通常国会に、報告書の内容に沿った下請法改正案を提出、成立を目指す。

報告書は、現行の下請法では規制対象となる取引の基準を発注側と下請けの事業者の資本金で設定しているが、新たに従業員数も加えることを提唱。取引先に増資を迫って下請法の適用を逃れる事例があることなどから、規制を強化するよう主張している。

また、約束手形を使って支払うことを禁じるとともに、取引代金の振り込み手数料を下請け企業に負担させるのをより強く禁止することも列挙。「下請け」の名称自体も見直すよう要請している。

発注側の事業者が、下請け事業者が違法行為を公取委や中企庁へ知らせたことを理由に取引停止などの報復措置を取ることを禁じている条項については、下請け事業者の申告先に事業所管省庁の主務大臣を追加するよう明記している。実現すれば、国交省の「トラックGメン」ヘの情報提供も保護対象となる見込み。

(藤原秀行)

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