新規計画の10棟で起工式開催、リチウムイオンバッテリーなどの保管需要に対応
プロロジスは2月4日、茨城県古河市で、賃貸用のHAZMAT倉庫(危険物倉庫、危険品を意味する「hazardous material」を省略した言葉)10棟から成る物流施設「プロロジスパーク古河7」の起工式を執り行った。
「古河7」は、物流以外にも製造拠点など様々な用途で利用できる仕様のマルチパーパス型ロジスティクスパークとしてプロロジスが開発を進めている「プロロジス古河プロジェクト フェーズ2」のエリア(総敷地面積約17万7000㎡)内で建設する。
計画している延床面積はHAZMAT倉庫10棟の合計で約1万1500㎡。竣工は2026年2月の予定。
「古河7」の竣工イメージ(上、右下の10棟)と「プロロジス古河プロジェクト フェーズ2」全体図(いずれもプロロジス提供)
「古河7」の建設地
「古河7」が完成すると、「古河プロジェクト フェーズ2」全体でHAZMAT倉庫は19棟に増える。EV(電気自動車)の利用拡大に伴うリチウムイオンバッテリーの需要増や、インターネット通販の普及による化粧水、アルコール類などの取り扱い拡大に対応するのが狙いだ。
既に、同一エリア内で複数の物流施設が稼働している「古河プロジェクト フェーズ1」にはHAZMAT倉庫が10棟存在しており、2つのプロジェクトで29棟と国内でも有数の一大“賃貸型危険物倉庫タウン”になる見通しだ。
起工式後の式典でプロロジスの中村明夫マネージングディレクター上席執行役員開発本部長は「古河6の建設段階から、危険物倉庫のニーズの高さは感じていた。危険物倉庫の建設によって、本プロジェクトにさらなる付加価値と差別化をもたらすと考えている」と述べた。
プロロジス・中村氏
設計・施工を担当した三和建設の川口秀夫執行役員大阪本店長は「当社は危険物倉庫の建設に特化した強みを持っている。古河6以上の緊張感を持って、品質を高めて建設に取り組んでいく」と意気込みを語った。
三和建設・川口氏
プロロジスの山田御酒会長CEO(最高経営責任者)は現地でメディアの取材に応じ、「当社は10年以上前、危険物倉庫って何?と市場で言われているころから取り組んできた。直近のコンプライアンス重視の潮流や安全な保管場所の需要の高まりから、危険物倉庫の需要は伸びていると感じている」と指摘した。
今後の物流施設開発に関しては市場全体の動きとして「新型コロナウイルス禍の特需が落ち着いて、この先2~3年で需要の低下などもあり供給は減っていく見通し」と展望。その上で「ただし、当社は今後もコンスタントに年間500億~600憶を投資し、良いものを良い場所に建てていく。プロロジスパーク盛岡のように、首都圏、近畿に限らず地方の中核都市にもマルチテナント型の施設を増やしていきたい」と考えを語った。
プロロジス・山田氏
起工式当日は、2024年12月に竣工した「プロロジスパーク古河6」と敷地内のHAZMAT倉庫8棟もメディアに公開した。
三和建設の松本孝文執行役員によると、全体が三角形の敷地を最大限生かせるよう設計したと説明。約5mのひさしを付けることで、雨天時でも荷降ろし作業を継続できるよう配慮しているほか、法律で外壁から10mの保有空地を設けるよう定められていることを踏まえ、保有空地を利用して車路を設けたことを明らかにした。
「古河6」で立ち並ぶHAZMAT倉庫(プロロジス提供)
「古河6」敷地内のHAZMAT倉庫
三和建設・松本氏
水害の対策として、入り口に高さ1mの止水板を設置している上、床は真ん中を中心に山形の勾配がある形にすることで、液漏れなどが万が一起きても側溝に流れるようにしている。
「古河プロジェクト フェーズ2」はトータルで5つの物流施設を開発する。丸和運輸機関が「プロロジスパーク古河4」の一部と「プロロジスパーク古河6」の全棟で賃貸契約を締結。普通品と危険品を同じ敷地内で一体運用できる利便性を評価しているという。
並行して、北東隣に位置している「古河プロジェクト フェーズ1」は合計約10万6000㎡のエリアに3つのBTS型物流施設「プロロジスパーク古河1・2・3」を構えている。
HAZMAT倉庫内
止水板
揮発性のガスを集めるダクト
防爆仕様タイプの充電式フォークリフト
フォークリフトを充電する付属棟
(安藤照乃、藤原秀行)