日本郵便とウーバー、石川・加賀市で3月開始
日本郵便と配車アプリ大手Uber Japan(ウーバージャパン)の両社は2月27日、石川県加賀市で、一般のドライバーが有料で客を運ぶライドシェアのドライバーが荷物も輸送する貨客混載の実証実験を3月に始めると発表した。
両社によると、ライドシェアのドライバーが荷物も取り扱う試みは全国で初めてという。
加賀市は2024年、ウーバージャパンや地元の加賀第一交通と組み、市の観光交流機構が運行主体を務める「公共ライドシェア」を開始した。観光客の輸送などに使われているが、時間帯や季節によっては利用が落ち込むなど需給のバランスが変動しているため、平日の昼間など観光客の利用が減る時間帯に日本郵便のゆうパックの荷物を取り扱えるようにし、収入の機会を増やしてドライバーを安定的に確保、ライドシェアの継続を図る。
日本郵便としても配送の効率化につなげたい考えだ。
ゆうパックの配達は日本郵便がドライバーと契約。同社のシステムを介して、加賀郵便局管内でゆうパックの輸送を依頼、配達した個数に応じて報酬を支払う。観光客らを運んでいる際、同時に荷物を載せることも可能だが、旅客の輸送を優先する。
貨客混載は荷物の配達のみで、集荷は担わず、時間指定されているゆうパックも取り扱わない。
東京都内で同日、記者会見した日本郵便の指宿一郎執行役員は「委託手数料をお支払いすることで、ドライバーの皆さまの収入向上とドライバー供給の安定化に貢献できると考えている。成功に向けて積極的に取り組んでいきたい」と強調。
ウーバージャパンの山中志郎代表取締役は「テクノロジーで人と物の移動を最適化し、地域社会に貢献する企業であり続ける。加賀市で効果を確認できれば他の地域にも展開していきたい」と語った。
加賀市の宮元陸市長は「(ドライバー不足で)予約配車すら満足にできない状況が続いている。全国いたるところでそうしたことが起きていると思う。(地方にとって)移動手段をどう確保するかは喫緊の課題で切羽詰まった状況にあるというのは過言ではない。MaaS(Mobility as a Service、複数の交通手段を最適に組み合わせて旅客や荷物の輸送を図る取り組み)を実現しないと地方の物流はどこかで行き詰まる」と述べ、ライドシェアドライバーによる貨客混載の効果に期待を示した。
記者会見後の撮影に応じる(左から)加賀郵便局・能瀬宏行局長、日本郵便・指宿執行役員、加賀市・宮元市長、Uber Japan・山中代表取締役、国土交通省・髙本仁大臣官房参事官
(藤原秀行)