エアロセンスやKDDIグループなど参加、災害時の実用化目指す
首都高速道路と首都高技術、JDRONE、エアロセンス、KDDIスマートドローン、NTTコミュニケーションズの6社は3月17日、災害時などに迅速かつ確実に点検を継続できるよう、ドローンを活用した往復約2.8kmの自動飛行などの実証実験を2月14日に東京湾岸のレインボーブリッジで実施したと発表した。同様の実証実験は首都高では初めて。
夜間の災害発生を想定し、「夜間飛行時における映像視認性確認の実証」や「自動でドローンの離着陸・充電ができるドローンポートを複数使用し、ポート間を往復する長距離飛行の実証」を展開。ドローンで撮影した映像を、災害時などに点検に活用する手法が有効かどうかを検証した。
実証実験の結果、夜間災害発生時の暗所で飛行する場合の機体選定や点検手法、複数のドローンポート(専用離着陸設備)を使用する点検手法の確立に向け、有益な検証結果を得られたと説明。
その一方、安定した飛行制御・映像配信を目的とした、災害時の即時点検候補エリアの電波環境の調査や使用電波の選定など、より実践的な運用に向けた課題も確認した。
6社は今回の実証結果を踏まえ、迅速かつ確実に点検を行うために多様な点検手法の確立と体制構築を目指す。
実証実験の概要
日時:2025年 2月14日(金) 午前11時~翌午前2時
場所:レインボーブリッジ(高速11号台場線)
項目:① 高速道路上空を夜間に自律飛行しながら安定した映像をリアルタイムで配信
② 高架下を昼間・夜間に飛行しながら安定した映像をリアルタイムで配信
③ ドローンポートから異なるドローンポートを往復する自動離陸、自律飛行、自動着陸(昼間実施)
④ 同時に飛行している機体の飛行情報、映像をリアルタイムに取得および一元管理
※試行検証として、夜間の捜索を想定したドローンに搭載したスポットライト、スピーカからの拡声放送、対象物のリアルタイム位置特定(NTTコミュニケーションズ)、ドローン映像からのリアルタイム人物検出(KDDIスマートドローン)を実施
役割と実証項目
会社名 | 役割 | 使用機体名 | 実証項目 |
---|---|---|---|
首都高速道路全体 | 総括 | ||
首都高技術安全管理 | |||
JDRONE | 実証実施者 | Matrice 350 RTK | ① |
エアロセンス | 実証実施者 | AS-VT01K | ① |
KDDIスマートドローン | 実証実施者 | Skydio X10/DJI Dock 2(Matrice 3TD) | ①、③、④ |
NTTコミュニケーションズ | 実証実施者 | Skydio X10 | ①、②、④ |
【検証項目と結果】
検証項目 | 検証結果 |
---|---|
ドローンおよびドローンポートの適用性 (機体やGPS、通信環境等の確認) |
・GPS や通信は比較的良好で途絶することがなかった。 ・ドローンポート間を往復する実証では飛行はできたものの、一部映像の通信途絶が見られた。 |
ドローンで撮影した映像の有用性 (映像精度、現場状況の確認) |
・各映像はリアルタイムに確認することができ、映像は夜間でも道路状況の概略を把握するには十分であった。 ・高架下の飛行においては、機体性能が十分発揮され、高精度な映像を確認することができた。 |
事前に作成した飛行経路に対する実際の飛行精度 (構造物との適切な離隔保持等) |
・プログラムされた飛行経路から逸脱することなく、安定した飛行を行うことができた。 |
異なる機体の飛行情報の一元管理の可能性 (他のシステムへの伝送確認等) |
・各機体のクラウドから一元管理する他のシステムへの伝送はできたが、一部映像の途絶・遅延が確認された。 |
【使用機体一覧】
【当日の様子】
■夜間飛行(高速道路上空付近を撮影)
JDRONE撮影
エアロセンス撮影
NTTコミュニケーションズ撮影
■夜間飛行(高架下を撮影)
NTTコミュニケーションズ撮影
■ドローンポートを使用した飛行
KDDIスマートドローン撮影
■飛行情報の一元管理
KDDIスマートドローン撮影
【位置図】
【飛行経路図】
(藤原秀行)※いずれも6社提供