1300億円超投じ、小売業との取引拡大や配送事業強化目指す
三菱商事は5月8日、傘下で食品卸大手の三菱食品を完全子会社化すると発表した。
三菱商事が5月9日から6月19日までの間、三菱食品に1株当たり6340円でTOB(株式公開買い付け)を実施した上で、残る全株を手に入れ、9月ごろをめどに完全子会社化することを想定している。全株取得に要する額はトータルで1300億円を超える見通し。
三菱食品は5月8日、TOBに賛同し、株主に応募を推奨すると発表した。同社はTOB成立などを経て、東京証券取引所スタンダード市場への上場が廃止になる見込み。
三菱商事は昨年9月末時点で、三菱商品株式の50.11%を保有している。食品卸は人手不足や物流コスト高騰などの難題に直面しており、三菱商事が完全子会社化して結び付きを強め、小売業との取引を拡大するとともに、食品関連の物流ノウハウを生かした配送事業の強化などを進めていくことを目指す。
三菱商事は「三菱食品とより一体となった経営体制を取り、両社の経営資源を相互活用することで、三菱食品を中核とする食品流通事業の強靭化に取り組んでいく」と説明している。
(藤原秀行)