トラック運送事業に5年の更新制採用し「適正原価」順守義務化、政府内に「物流政策推進会議」設置も

トラック運送事業に5年の更新制採用し「適正原価」順守義務化、政府内に「物流政策推進会議」設置も

改正法案など、5月中めどに超党派議員で国会提出へ

自民党は5月14日、政務調査会の国土交通部会と物流調査会の合同会議を開き、与野党の超党派で議員立法を目指している貨物自動車運送事業法の改正案と、貨物自動車運送事業適正化体制整備推進法案をそれぞれ了承した。

2法案は、トラック運送事業に携わるドライバ―らの待遇改善を図り、「物流2024年問題」などの課題解決を促すため、トラック運送事業者の事業許可を5年ごとの更新制に変更し、事業者自身の収支改善の努力を後押しすることなどが柱。政府内にトラック運送事業の適正化など関連施策をより強力に進めるための関係閣僚会議を設けることも打ち出している。

 
 

今後、各党の手続きを経て、現在開会中の通常国会に2法案を提出、成立を目指す。国会提出は5月中になる見通し。

改正案は、運送事業許可に5年の期限を新たに設定し、各事業者に対して運賃や料金が、新たに国土交通省が算出する「適正原価」を割り込まないよう義務付ける。

更新時の審査の際、適正原価を満たさない低水準の運賃や料金を払っている運送事業者には国交省が是正を指導する。

国交省は既に、法的拘束力のない「標準的運賃」を公示し、運送事業者が荷主企業と運賃・料金交渉する際の目安にしてもらうことを呼び掛けているが、より対応を強化する。改正法が成立した場合、「標準的運賃」は廃止となる見込み。適正原価は標準的運賃と同じく、国交省の運輸審議会に諮った上で正式に決定するよう定める。

このほか、運送業務委託を2回以内に抑えるよう、元請けの運送事業者らに努力義務を課すこともうたっている。

一方、新法案はトラック事業の適正化支援を担う独立行政法人を設立し、改正法に則った事業許可更新の実務などを委託、事業の資金は更新手数料を生かすことを盛り込んでいる。政府に関係省庁が参加した「物流政策推進会議」を設け、より緊密に連携して物流関連の施策を進めることも示している。同会議には国交、経産、農林水産、厚生労働などの各閣僚と公正取引委員会委員長らが参加する。

 
 

(藤原秀行)

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