カクヤスグループが荷主から配送請け負う「販売プラットフォーム企業」への成長志向、将来は3PLも視野

カクヤスグループが荷主から配送請け負う「販売プラットフォーム企業」への成長志向、将来は3PLも視野

事業戦略を説明、自社の物流インフラ活用

酒類販売大手のカクヤスグループは5月28日、東京都内で事業戦略に関するメディア向けの説明会を開催した。

佐藤順一会長や前垣内洋行社長兼CEO(最高経営責任者)は同社として初めて作成、開示した2025年度から3年間の中期経営計画について言及。消費者の間で“酒離れ”の傾向が見られることなどを踏まえ、今後はカクヤスの店舗やECで現在主力の酒類に加えて食材や調味料なども積極的に取り扱うほか、飲食店や個人宅に商品を日々届けている自社の物流機能を生かしてメーカーや卸などグループ外の荷主企業からも配送を請け負う方針を発表。業容を広げていくことに強い意欲を表明した。



新中計は3年間で新たな成長の基盤を整え、5年後の2030年3月期(29年度)には、連結売上高を25年3月期(24年度)実績の1345億円から1700億円、営業利益は17億円から40億円にそれぞれ伸ばすことを目標に設定している。


説明会後の撮影に応じる(左から)飯沼勇生取締役、佐藤会長、前垣内社長兼CEO

佐藤会長は、多様な商品の受注から配達、請求、決済まで包括的に担える「販売プラットフォーム企業」に成長していくことを念頭に置いていると強調。「当社の物流は完全自律型の上、ワンウェイではなく(空き瓶の回収などを手掛ける)ツーウェイ。全部自前で成立させることができる。(今後3年間を)第二の創業期として頑張っていきたい」と述べた。

前垣内社長はM&Aによる物流機能強化などを想定していると説明。「将来は多品種を取り扱う地域特化型の物流を目指す」と語った。

また、東京・平和島の物流センターを増床した上で、傘下のカクヤスの社内物流事業を4月1日付で承継したグループの大和急送(昨年8月買収)が同センターを活用し、メーカーや卸から受け入れた商品をカクヤス店舗に加えて、メーカーや卸の配送先に届けることにも対応できるようにする計画を説明した。

前垣内社長は「どのようなサービスが考えられるか検討しているので、3PLのニーズがあれば当然そこに入ることも視野に入ってくる」と語り、在庫管理なども担う3PL事業を展開する可能性があることを明らかにした。



並行して、顧客向けのスマートフォン用注文アプリの改修などDXを推進。その一環として、新たな配送管理システムを採用し、住所や商品などの情報から最適な配送経路を自動的に算出する取り組みを始めることを明らかにした。今年6月にまず一部の店舗で導入、効果を見ながら9月以降、順次他の店舗にも広げていく予定という。新システムの活用で配送できる商品を3割増やせるとの見通しを示している。

加えて、物流機能の強化へ物流企業との協業拡大やM&Aを検討するほか、関東以外のエリアでも物流の事業を展開していきたいとの考えを示した。


物流変革のイメージ(カクヤスグループ提供資料より引用)

(藤原秀行)

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