26年中の施行目指す、就職活動中の学生へのセクハラ防止も
顧客からの度を越した迷惑行為「カスタマーハラスメント」(カスハラ)への対策を企業に講じるよう義務付ける改正労働施策総合推進法などが6月4日、参議院本会議で可決、成立した。
改正法を所管する厚生労働省は2026年中に対策義務化を施行したい考え。
改正労働施策総合推進法はカスハラの定義として「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境を害すること」と設定。
企業に対し、対策を行うとともに実効性を確保するための措置も実行するよう定める。厚労省は具体的な取り組みの内容を指針として示す予定で、相談窓口の設置や企業の方針明確化と周知・啓発などを列挙する見通し。
これまで法律ではパワーハラスメント(パワハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)への対策を企業に義務付けていたが、カスハラは対象外だった。ただ、パワハラやセクハラと同じく、カスハラも対策を怠った場合でも企業に罰則はない。
併せて成立した改正男女雇用機会均等法は、就職活動中の学生ら仕事を探している人へのセクハラを防ぐ対策を企業に取るよう義務化する。厚労省は同じく指針を策定し、学生が企業の従業員らと面談する際のルールなどを明記する方向。
同じく成立した改正女性活躍推進法は、従業員101人以上の企業に対し、男女間の賃金差や女性管理職比率の公表を義務付けることなどを盛り込んでいる。
また、改正労働施策総合推進法は企業に対し、職場で従業員が病気の治療をしながら働き続けられるよう必要な措置を講じる努力義務を課す。
(藤原秀行)